文を書く in TOKYO

ファッションとエンターテインメントについてふわふわ語る

この夏に聞いた曲と、思ったことの記録

9月になったのでこの夏を終えるための記録を、聞いていた曲とともに残しておこうと思う。YEAH! めっちゃ夏ソングと出会えたことで癒されたり力をもらったりした夏でした。

Mango / SUPER JUNIOR

 

Mango

Mango

  • SUPER JUNIOR
  • K-Pop
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この夏の私の1番はスジュことSUPER JUNIORの「Mango」でした。1回聞いた瞬間から、この夏ずっと聞いているだろうな、と予感していたら本当にそうなった。

“僕こそがオアシスだ、マンゴーのように甘い天国においで”という歌詞がもう、「アイドルだなー!!」という感じでものすごく好きだった。

乾いた気分を潤してくれるような存在が私にとっての”アイドル”だと思っていて、それをバシッと歌詞で言ってくれたのが爽快で心地よく、この人達についていきたいと思った。夏っぽく熱い感じもありつつ、どこか歌のメロディは涼しくてクールな雰囲気がある。

「Mango」とは異なるメッセージの曲だけど、「Devil」の“君は遥か遠くの砂漠の塩”という歌詞も好きだなー。冷たくて熱い、という相反するようで矛盾しない感じを歌っているのが良い。

「Mango」をはじめ、イトゥクさんがやっているYouTubeもちょくちょく見るようになってからスジュがどんどん好きになっていき、SM TOWNのライブをソウル公演・東京公演と配信で見ていました。

aespaやレドベル、少女時代も物凄い熱量で「現場で見たい!」という気持ちになったけど、スジュのステージは特に会場の熱気を集めて一気に爆発させるようなエネルギーがあり、めちゃめちゃ元気が出ました。SMTを見たら「BONAMANA」がとっても好きになって、力を出したいときによく聞いている。中盤のリョウクさんパートのみなぎる感じが好き。

次コンサートの機会に恵まれたら絶対にスジュのコンサートに行きたいです。っていうか絶対行くわ。イトゥクさんが全力でステージの端から端まで走って、体全体を使って踊っていたのが印象的で(ラスト、MCとして場を取り仕切る時のよく通る声とテキパキ動く姿も印象的だった)、彼の全力ステージを直接見てみたいです。

GOT7 / Drive Me To The Moon

 

Drive Me To The Moon

Drive Me To The Moon

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この曲聞いてると白く伸びる月の光が見えてくる気がする。夜を駆け抜けるような、心躍る感じがしてウキウキしました。タイトル曲の「NANANA」はリラックスできるムードの曲になっていて、GOT7って幅広い曲を歌うんだなあ、と思った。また彼らが集まった時、どのような姿でどのような音楽をやっているのか今からもう楽しみです。

カムバックした時のコンサートも配信で見たけど、トークがあまりにも楽しそうなのと、歌って踊っている姿がみんな自然体で、親しみを感じるステージでした。JAY Bさんのソロコン配信もめちゃめちゃよかった……!!!1人でステージに立つJAY Bさんの真摯さが見えるコンサートだった。

GOT7 / Mr. Chu(Apink cover)

GOT7 - Mr. Chu (원곡:에이핑크)뮤직뱅크.20141219 - YouTube

GOT7がデビューしてすぐくらいの時期にApinkの「Mr. Chu」をカバーした動画があるんですが、あまりにも眩しいのと「Mr. Chu」があまりにもいい曲で一時期この動画ばっかり何回も見ていました。

もちろんApinkが歌う「Mr. Chu」も最高ですが、デビューしたての時期のGOT7が初々しくもありつつアイドルとしてのキラキラした感じ、圧倒的な感じを存分に発揮していて、本当に眩しいんですよね……。隅々まで可愛くて目が離せない”ザ ・アイドル”を凝縮した3分弱の動画、癒し効果がすごい。通勤途中に何気なく聞いてたらふと涙が出てきたこともあるくらいです。GOT7が歌っている様子を客席でApinkが見ているんですが、Apinkがニコニコしながら見守っている感じも素敵。

あらためてApinkの「Mr. Chu」本当に王道アイドルソングの名曲だわ……。聞いてるときの感覚としては、個人的にはあややの「LOVE涙色」を聞いてるときに近いものがある。聞いているだけでドキドキしてくる感じ。

 

Mr. Chu

Mr. Chu

Apink CHOBOM / Copycat

Apink 초봄(CHOBOM) 'Copycat' MV - YouTube

 

Copycat

Copycat

  • Apink CHOBOM
  • K-Pop
  • ¥255
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Apinkチョロンさん&ボミさんのユニットCHOBOM。めっちゃ最高。最高に可愛くてクールで天才。衣装も世界観もダンスもめちゃめちゃかわいいのよ……。ティザーのビジュアルが解禁されるたびに湧き立っていました。

MAMAMOO+ / Better(Feat. BIG Naughty)

[MV] 마마무+ - Better (Feat. BIG Naughty) - YouTube

 

Better (feat. BIG Naughty)

Better (feat. BIG Naughty)

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最高。最高に可愛くて安心感があって天才。MAMAMOOからユニットとしてソラさん、ムンビョルさんが組んだMAMAMOO+。

“君がいればBetterだから他の人は別に羨ましくない”、とゆっくりなビートでと歌っているのが良い。リリースまでのMAMAMOO+メンバー募集(?!)のくだりも含め、笑いやユーモアも忘れず、しみじみいい曲だな、と思える曲を送り出してくれるのがMAMAMOOだよな、と思う。

いや〜〜〜本当最高だな〜〜MoonSun、ヨンコンビョルコン。新たなMAMAMOO+の今後の活躍も楽しみです。欲を言えばファサ&フィインのユニットも見たいんですが…???

Amazing Love / KinKi Kids

KinKi Kids「Amazing Love -YouTube Original Live-」 - YouTube

KinKi Kidsの25周年を飾る「Amazing Love」、25周年にぴったりの物凄い曲だと思う。デビュー曲「硝子の少年」が透き通ったガラスなら、「Amazing Love」はどんな色も光も様々な方向に反射して輝く不思議な石って感じがする。

作詞をKinKi Kidsの2人で手掛け、作曲を山下達郎さんが手掛けたという時点で期待大だったこの曲。KinKi Kidsが辿ってきた色々な感情も記憶もぎゅっと詰め込まれている気がして、でもそれは“君と僕の声がAmazing Love”というシンプルな言葉に集約される。めっちゃ強い曲だ……と思いました。KinKi Kidsが歌う、まさにKinKi Kidsの曲だという感じがする。

東京ドームで聞いた時の、包み込まれるようでもあり解放してくれる感じ、今いるところから先へと後押ししてくれるような感覚を聞くたびに思い出します。またこれからのKinKi Kidsが歌う「Amazing Love」もずっと聞いていけたらいいな、と思います。

カップリングの竹内まりやさん作詞作曲「Midnight Rain」は、KinKi Kidsがまりやさんワールドを歌っている…!というのがとても嬉しかった曲。この曲を聞いていると、“1人と1人が一緒にいて2人”のKinKi Kidsを感じられる気がする。また、KinKi Kids作詞作曲の「Heart」も突き抜けるような爽やかさと、KinKi Kidsが背中を押してくれるような歌詞がとても好き。シングル「Amazing Love」、1枚でかなり満足感の高いシングルだと思う。どの曲も本当に良くて、3曲通して聞くと1本映画を観終わった後のような達成感がある。

 

 

ちなみにKinKi Kidsが開設したYouTubeではかなり本気度高めなKinKi Kidsのライブ映像(YouTube限定)や25円で出演したCM(!)が観られるのでチャンネル登録すると良いことあるよ!!!

www.youtube.com

 

夏の終わりに思ったことあれこれ

ここ近年、春から夏にかけての季節が最も苦手というか、何か足元がおぼつかないような状態になることが多い。ふわふわしているというよりはぐらつく感じ。ただ、今年もそう思って気構えていたら昨年ほどじゃなかったようでよかった。今年はマイペースに続けていた韓国語学習を頑張る!と年初のうちから決めていたので、夢中になれること、集中すべきことが増えたのが良かったのかもしれません。

とはいえ、社会的に衝撃的なことも多く、心が傷んだり気が滅入ったり、落ち込んだりすることが多かったのもたしか。これは私だけではないと思うけれど、呆然とすることも、不安なこともたくさんある2022年、どうにか夏の終わりにまで辿り着けたな、という思いもあります。夏が終わるな〜としみじみしていたら不意打ちのように夏の終わりに体調を崩したのですが、きっと様々な疲労が溜まっていたのだろうと思います。

ちなみに体調はSMTのことを思い返したり、スジュの愉快な動画を見ていたりしたらすっかり回復しました。私、2人組のアイドルを応援するのが好きなんですが今「スジュの83Lineめちゃめちゃ良いな…?!」となっています。体調回復した記念にFC入会もしてエルプになりました!わーい(ママムのFCにも入会した)。

韓国語や韓国エンタメに触れる時間を多くしていたので、この夏に聞いていた曲はK-POPが多め。今までK-POPの色々な曲を知るために聞いていたラジオ番組が春の番組改編で終わってしまって、自分が好きなグループ以外の情報や音楽を新たに知る機会は少なくなっていったのですが、それでも新たなグループを好きになり、新たな曲を好きになって、昔の曲に遡って好きになって……、ということがあり、まだまだ知らないことがたくさんある!とワクワクしました。仕事が忙しかったり、体調が不安定だったり、様々なことはあれどエンタメのおかげで楽しい夏になりました。

ただ、忙しくてタイドラマに触れられる時間が短くなってしまったのはちょっと惜しいかな……。ドラマ&ライブ配信を次から次へと提供してくれるタイエンタメのスピード感にリアルタイムで乗っていくのが難しくなり、マイペースで少しずつドラマをチェックしていきたいと思っています。とはいえPondPhuwin主演作「Never Let Me Go」は逃さないわよ…!

終盤からリアルタイムで追えなくなってしまった「MAMA GOGO」は途中まで字幕なしで見ていたのですが、字幕なしでもかなり面白かったので絶対に日本でオフィシャルに配信してほしいです。Earthさんが演じているキャラも面白くて好きですが、私の推しはPodさん演じるMudaeng。めっちゃ可愛かった。

[Official Trailer] MAMA GOGO แม่มาคุม...หนุ่มบาร์ร้อน - YouTube

「MAMA GOGO」はコメディタッチで描かれるきらびやかなショービジネスのお話。パフォーマンスに目を奪われる瞬間、舞台に立つ人にスポットライトが当たるその瞬間の輝きをリアルに切り取っていたのがよかった。ディテールまで理解して最初から最後までちゃんと見直したい作品です。

 

このブログも気がつけば9ヶ月ぶりの更新になってしまった。今後はもう少し細かく、観たものの感想や考えたことを残していけたら良いな、と思います。

2021年、春夏秋冬に聞いていた曲を振り返る

2021年、よく聞いていた曲を振り返ります。もうクリスマス目前なのだと思うと毎年のことながら本当に早いですね。昨年から韓国映画や韓国文学、K-POPに興味を持ち始めたためか、今年の印象的な曲はK-POPが多かった。まだ知らない良い曲や好きなグループに出会いたくて、K-POPをよく紹介しているラジオなどをradikoで聞き漁っていました。

一番聞いていたのはLOVE FMの「K Vibes Up Show」。ランキング形式のK-POPチャートや、DJのYURIさんによるK-POPミックスを毎週紹介していて「こんないい曲があったんだ!」にたくさん出会えたラジオだった。YURIさんのポップなトークも好き。

lovefm.co.jp

 

2021年、色々なかったようで色々あった年だった。正直何かを成し遂げた、というような手応えはなかったのだけど、ちゃんと思い出そうとすると自分なりに頑張ったこともあったと思える年だった。

後になってからきっとこれらの曲を聞いたときに少しだけ、自分が感じてきた気持ちの輪郭にそっと触れることができるんだと思う。季節ごとに振り返っていきたいと思います。

IU - LILAC

Lilac

Lilac

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[MV] IU(아이유)_LILAC(라일락) - YouTube

これは前述した「K Vibes Up Show」で流れてきたのを聞いて以来ヘビロテしていた曲。IUが20代に別れを告げ、30代を迎えるに当たって作られたアルバムのリード曲です。歌詞がとてもきれいで切なくて、春風が吹き去っていくような、ぷかぷか浮いている雲のような思い出に別れを告げる時の潔くも感傷的な感じが表現されていると思います。

春、これをずーっと聞いていて、自分の中にたしかにあったはずなのにもはや形を留めていない思い出たちがわさわさと動き出すような感覚がありました。いいことも悪いことも全部、全部遠くに行ってしまうんだなあと思った。

IZ*ONE - La Vie en Rose

La Vie en Rose

La Vie en Rose

IZ*ONE (아이즈원) - 라비앙로즈 (La Vie en Rose) MV - YouTube

2021年4月、IZ*ONEが活動終了を迎えるタイミングに合わせてIZ*ONEの曲がラジオでよく流れていた。IZ*ONEの曲、いい曲たくさんあるけれど一番この曲が好きだな〜。素敵なデビュー曲。みんな素敵で歌声も可愛くて、まさに”理想”、ドリームチームと言えるようなアイドルグループだと思いました。詳しく追っていないので個々のメンバーについてはそこまでよく知らないのだけど、全員でステージに立った時の存在感と華がすごい。

初夏

EXO - Don't fight the feeling

Don't fight the feeling

Don't fight the feeling

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EXO 엑소 'Don't fight the feeling' MV - YouTube

2021年は初夏から夏にかけてが一番辛かった。朝家を出て、雨の中で動けなくなったのも初夏と夏の間、というか梅雨のことでした。そんな時期にこの曲があって本当に良かったな〜と思っている。ヒールを履いて靴擦れしている時のパッドみたいな感じ、これがないと歩けなかった。

EXO、前から「Tempo」という曲が好きでゆる〜〜〜くチェックはしていたのですが、カムバしていたことに気づいたのは発表されてから少し経ってからでした。タイのドラマ「千星物語(A Tale of Thousand Stars)」主演俳優のMixくんのTwitterを見たことで、「あらEXOカムバ!」と思って見たのがきっかけでした。まじでMixくんありがとう……となっている。

 

 

歌詞はタイトル通りの“Don't fight the feeling”が散りばめられているような、鼓舞してくれるような内容で、全く自分がどうしたらいいのか分からなくなってしまった私にドンピシャでした。特に好きなのはベクが歌っている「下から上がっていった君じゃないか」。頑張れって上から言われるんじゃなくて、なんとなく自分と平行線上にいて寄り添ってくれるような感じがして好き。

ちなみにこの曲はCDで持っておきたい!と思って衝動的にCD屋さんに買いに行った。特に特典の種類も気にせずに最初に目に入ったCDをレジに持っていったため、本来ついてくるはずのポスターを受け取らずに店を後にしていたらしい。私は全く気がついていなかったけど後から店員さんが気づいたらしく、エスカレーターに乗って外に出ようとしていた私を追いかけて「あの!ポスターを!」と大声で一生懸命伝えてくれた姿に、なんだかほっこりしてしまった。

「あ!すみません、気づいてなかったです」と言いながら明らかに焦っている店員さんについていこうとすると「あ!準備をしておきますのでお客様はゆっくりいらしてください!ゆっくりで大丈夫です!」と言いながらその店員さんがぺこぺこ謝っていて、心中察するに相当焦っていたと思うけど私はかなり癒されました。以前に比べると買い物もそんなにしていないし、いつも決まり切ったルーティーン、決まり切った人と決まり切った会話をしながら過ごしている中、イレギュラーな場面で気持ちのこもった対応をしていただけたのが本当に久しぶりで嬉しかったんだと思う。この曲を聞くとその時の店員さんの顔や自分の嬉しかった気持ちもセットで思い出す。

KinKi Kids - アン/ペア

KinKi Kids - アン/ペア [Official Music Video(short ver.)] - YouTube

本当はつながりあいたいのになかなか繋がることができない2人を描いた曲。KinKi Kidsが歌う「2人」の世界が本当に好きだな、と思った曲でした。剛さんがいて、光一さんがいて、「この2人しかいない」、それがKinKi Kidsだということを感じられる曲。KinKi Kidsって2人を象徴する曲がいっぱいあってすごいなと思う。制作陣がKinKi Kidsをイメージして曲を作っている部分はあるにせよ、KinKi Kidsが歌えばそれが「KinKi Kids自身」を歌っている曲になる側面も少なからずあると思っていて、強固なアイデンティティを感じます。ちょうど「アン/ペア」を聞きまくっている時期に「BANANA FISH」にハマっていて我ながらタイミングがいい……、と思っていました。

 

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「アン/ペア」カップリングの「Dandelion」も好きです。“Brother”じゃやだ、じゃあ“Lover”?という歌詞を見た瞬間に「あ〜〜〜〜〜〜〜!キンキ〜〜〜〜〜!!!!好き〜〜〜〜〜!!!!」って叫んでました。

Solar & Moonbyul - Promise U

PROMISE U

PROMISE U

  • Solar & Moon Byul
  • K-Pop
  • ¥255
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솔라(SOLAR), 문별(MOONBYUL) of 마마무(MAMAMOO) - Promise U Official M/V - YouTube

開放感いっぱいのプールを前に伸び伸びと歌うソラとムンビョルの姿があまりに眩しくて夏の空気に溢れていて、「真夏の夢ってこんな感じかな」と思いながら聞いていた。オリジナルはVIBEの「Promise U」で、去っていく思い出を歌った曲。このカバーバージョンは夏っぽいレゲトンアレンジとエモーショナルなソラさんの歌声、低体温っぽいビョリのラップ、全てが作用しあってセンチメンタルさもありつつブチ上がる感じもある私の夏チューンでした。MoonSunのコンビネーション、さすが。2021年に限らず夏になったらまた聞いてると思う。

夏の終わり

Red Velvet - Queendom

Queendom

Queendom

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Red Velvet 레드벨벳 'Queendom' MV - YouTube

ここはクイーンダム。私がクイーンでありキングだから、私がルールを作る。歌詞を見たときに「あっ、クイーンダムってそういうことか」と思ってハッとなった曲。生きてきた中で“キングダム”という言葉は聞いたことがあっても“クイーンダム”は耳に馴染みがなかったけれど、“クイーンダム”だってあるはずだよね。この曲を聞いていると、『オーシャンズ8』を見た後のように、まるで自分が強くなって華やかな存在であるかのように思えるから好き。背筋を伸ばしてまっすぐ前を見て歩くことができる。

この曲を聞くまではあまりRed Velvetのことを知らなかったけれど、5人全員かわいくて個性的で好きになりました。中でもウェンディとスルギが好き。特にウェンディ、歌ってる時めっちゃかっこよくてきれいだけど、一方でバラエティになるとめちゃめちゃよく笑う親近感のある感じが好きです。

หลุยส์ ธณวิน(Louis Thanawin) - ข้างๆ (เพลงประกอบซีรีส์ "ปลาบนฟ้า")

ข้างๆ (เพลงประกอบซีรีส์

ข้างๆ (เพลงประกอบซีรีส์ "ปลาบนฟ้า")

  • หลุยส์ ธณวิน
  • TV サウンドトラック
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ข้างๆ Ost.ปลาบนฟ้า Fish upon the sky - Louis Thanawin - YouTube

タイのBLドラマ「Fish upon the sky」のOST。ドラマそのものがものすごく好きだというのもあるけど、Louisくんの声と流れる水のように爽やかなサウンドが聞いていて心地いい。晴れの日はもちろん、曇りの日も雨の日もこの曲を聞いていると心がふわっと軽くなる。

Louisくんの声って不思議なんだよなあ、さらりとしているけどなんかクセになるような感覚がある。特に高音部分、優しいけどただ柔らかく音をなぞっていくのではなく、彫刻刀で板を削る時のようなしっかりとしたテクスチャーがある。うまく形容できないんだけど、f/1ゆらぎが出てるのではないか?と思うぐらい聞いていてリラックスする声だと思います。GMMTVのドラマOST、いい曲がたくさんあるけどダントツでこの曲が好き。

 

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GOT7 - Run Away

Run Away

Run Away

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GOT7 "RUN AWAY" @ GOT7 💚 I GOT7 6TH FAN MEETING - YouTube

秋はずっとGOT7の「Run Away」を聞いていた。この秋「千星物語(A Tale of Thousand Stars)」はじめ「Theory of Love」などにも出ているタイの俳優・Earthさんのことがめっちゃ好きになり、EarthさんがGOT7のファンボーイだということを知ったことをきっかけにGOT7聞いてみようかな、となったのでした。この曲はEarthさんが以前のインスタライブで聞いていた曲で(いつのIGLだったか詳細を忘れてしまったが)、曲を流しながら口ずさんでいたのが印象に残っていました。

私がもともと逃避行系(?)の曲を好きなのもあり、どんどん遠くへ遠くへ駆け出していけるような、疾走感があるフレーズを聞いていると気分が前向きになる。GOT7、みんな歌声に存在感がありますね。JBの弾力がある声も好きだし、ユギョムの余韻がある感じの声もいいなあと思う。ジャクソンの切り込むようなラップもかっこいいし、聞き始めてからすぐに誰がどこ歌ってるかわかるようになった。私はBamBamが可愛くて好きです。最近は「Lullaby」も好きでよく聞いてる。

[GOT7 - Lullaby] Comeback Stage | M COUNTDOWN 180920 EP.588 - YouTube

 

BTS - Euphoria

Euphoria

Euphoria

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BTS (방탄소년단) 'Euphoria : Theme of LOVE YOURSELF 起 Wonder' - YouTube

BTSのジョングクソロ曲「Euphoria」は、天空にのぼっていくような浮遊感と開放感がある曲。空を飛んでいる感じがするなあ、と思っていたらLIVE映像でグクちゃんが歌いながらフライングしていて文字通り天使みたいでした。グクの透き通っていて伸びやかな歌声、癒されるというか心が洗われるような感じがしてすごいですよね。この曲も閉じこもった気持ちをだだっ広いところに開放してくれるような気がする曲。

冬、始まったばかりなのでまだ聞き込んではいないのですが、少し聞いただけで「めっちゃ良い!」となる曲がたくさんあったので一言ずつで挙げていきます。

Hwasa - I'm a B

I'm a B

I'm a B

[MV] 화사 (Hwa Sa) - I'm a 빛 - YouTube

ファサのソロ、「私は光」というパワーワードにひれ伏すしかない。ファサを見ているとクールでかわいくていつも目が離せなくなってしまう。

MoonByul - G999(feat. Mirani)

G999 (feat. Mirani)

G999 (feat. Mirani)

[Special] 문별 (MoonByul) - G999 (feat. Mirani) - YouTube

サウンドも映像も90年代っぽくてかわいい〜〜〜!ポップなビョリさん最高。

Bright, Win, Dew, Nani - Who am I

Who am I Ost.F4 Thailand : หัวใจรักสี่ดวงดาว BOYS OVER FLOWERS - BRIGHT, WIN, DEW, NANI - YouTube

F4 Thailandの予告編でちらっと聞いた時からいい曲だなあ、と思っていたけどフルで聞いてもやっぱりいい曲だった。歌い出しのWinくんも囁くようなDewくんの声も超エモーショナルだしそこで切り込んでくるBrightくんの声でグッと引き込まれる感じがある、Naniくんのラップもうっすら低体温な感じがとてもいい……。今日朝聞いてから出かけたら1日中頭の中でこの曲が鳴っていた。


www.youtube.com

Khaotung Thanawat - Never Too Late

Never Too Late Ost.55:15 NEVER TOO LATE - KHAOTUNG THANAWAT - YouTube

Khaotungくんがニコニコ歌ってるのを見ているだけで心が癒される。特に何かしているわけでもなくただそこにいて歌っている姿に惹きつけられる感じがして、滲み出る魅力ってこういうことなんか…?となっている。曲も爽やかなんだけど切なさがあり、吹っ切れたような感じもありいい曲だな、と思います。ドラマ「NEVER TOO LATE」も面白いんですけど序盤で止まってしまっており、早く休日だらだらしながら一気見したいなと思っています。

 

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2020年に出会えて良かったもの

あけましておめでとうございます。2021年になりましたね。

2020年内に振り返りそびれましたが、2020年、出会えて良かった映画や本、ドラマ、音楽などエンタメを振り返ります。自分の中で新鮮味があったものを中心に選んでみたら、韓国!タイ!みたいなラインナップになった。海外旅行に気軽に行けない時代なのに、海外への興味が強くなってしまった。「2gether」などは気持ちが強いのでまた別途何か感想を書きたいな〜と思っています。

2020年に出会えて良かった映画

『パラサイト 半地下の家族』

パラサイト 半地下の家族(字幕版)

パラサイト 半地下の家族(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Prime Video
 

 

賞レースで大変盛り上がったポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』、普段そんなに映画好きというわけでもない私が見ても面白かった。ストーリーがずんずん進行していくのと、サスペンスがいろいろなところに仕掛けられているのが見ていてよかった。咄嗟に出た行動とか嘘が連なってすごく大きなうねりになっていくこと、ひょんなところに大きな秘密が隠れていることなどから、平坦に見える世界が実はとても歪な形をしているのだ、ということに気が付く。

また、半地下の家をはじめ、韓国の切り干し大根の匂い、チャパグリ(ジャージャー麺)など、今まで全く知らなかった韓国の文化的要素が散りばめられていて、韓国の文化に興味を持つきっかけになった。『パラサイト 半地下の家族』に出会ったからこそ、韓国映画K-POP、韓国文学により一層興味を持つようになったと思う。

『お嬢さん』

お嬢さん(字幕版)

お嬢さん(字幕版)

  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: Prime Video
 

 

韓国映画をもっと見たい!と思って真っ先に見た『お嬢さん』がよかった。2020年公開の映画ではないが……。どんでん返しの痛快な感じと、キラキラしたスッキとお嬢さんのシーンが印象に残り続けている。「私の人生を壊しに来た救世主」はパワーワードすぎる。

 

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『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』 

イントゥ・ザ・スカイ ~気球で未来を変えたふたり~

イントゥ・ザ・スカイ ~気球で未来を変えたふたり~

  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: Prime Video
 

 

普段はあまり探検ものの映画を意識的に見る機会がなく、気球に乗って上空にいくとどういうことが起こるのかを映像で見られて良かった。昔風の衣装や空気感も好き。あと主演のフェリシティ・ジョーンズと、エディ・レッドメインの『博士と彼女のセオリー』コンビをまた見られて嬉しかった。ホーキング博士しかり、ルース・ベイダー・ギンズバーグしかり、知的な役柄を演じる時のフェリシティやエディがめちゃめちゃ好きなので、パイロットと学者という役柄もまたとても良かったです。

2020年に出会えて良かった本

金原ひとみ『fishy』

fishy税込1,320(2021/01/02時点)

飲み仲間の女3人の人生と内面を映し出した本。友人と飲みながら話していて、ふとした発言に思わずモヤモヤする時の空気感がリアルで、読んでいて「わかる〜」となる。夫が不倫に走ってしまったサレ妻の弓子と、都合のいい女ポジションに甘んじつつも、不倫の恋にのめり込んでしまった美玖、娘がいると話しながらも実際のところは素性を誰も知らないユリ。それぞれみんな訳あり。でも人と人との関係性において平等であることなんてなく、その不均衡さをありありと描いているところにモヤッとしながらもスカッとする。3人を繋ぐ関係性の形はいびつだけど、美しいものだと思う。

登場人物3人のキャラクターは、それぞれに強烈さがあり全面的に共感することはできないが、なぜかどこかしらに親しみが湧いてしまう。好きな場面は、美玖がナンパ男に盗撮されていたことに気づき、男が寝ている間にスマホを奪ってヒールでめちゃめちゃに壊すところです。すごい良かった。

 

チョ・ナムジュ『彼女の名前は』

彼女の名前は税込1,540(2021/01/02時点)

 『82年生まれ、キム・ジヨン』の筆者であるチョ・ナムジュによる短編集。いずれも女性を物語の主人公に据え、結婚・離婚から労働、介護、同性愛など様々なテーマから、社会的な抑圧に対して立ち上がる“彼女たち”の姿を描く。自分自身に重ね合わせたり、祖母や母に重ね合わせたりしながら読んでいくと、日本と韓国、国は違っていても共通した生きづらさがあると感じた。立ち上がり、声を上げる登場人物たちに勇気づけられるし、友人のような親しみが湧いてくる。

2020年に出会えて良かったドラマ

「MIU404」「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ

「アンナチュラル」と「逃げ恥」は2020年ではないが、今年になってやっと見たもので……。3作品とも、ものすごく没入して見た作品だった。ドラマにおいて面白いな、と思うポイントは、キャラクターに魅力を感じるかどうか、と「もっとこの物語を摂取したい、この物語の世界の中にいたい」と思わせるかどうかだと思う。

「逃げ恥」のみくりさんと平匡さんの、契約結婚に始まりお互いを尊重し合おうとする関係性や、「アンナチュラル」で徹底的に人の死と向き合おうとするミコトの真摯さと、それでいてどこか飄々としたキャラクター、「MIU404」の伊吹と志摩のお互い干渉しないし仲がいいかと言われるとそうでもないけれどたしかに強力な結びつきなどが、物語の世界に没入させたのだと思う。特に「MIU404」は、SNS社会におけるデマの拡散やバッシング、技能実習生の問題など現在進行形の社会問題を扱っていたので入り込みやすく、最終回まで夢中になって見ていた。

 

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「2gether」

タイでBLドラマが熱いらしいという噂は聞いていたものの、「ふーん?」と思いつつ今までチェックしてこなかった。秋からのWOWOWでの「2gether」放映を機に軽い気持ちで見たらどハマりしてしまい、一気にタイBL沼の深みを知ることに。私の2020年下半期をタイBLドラマがかっさらっていったと言っても過言ではない。本人たちも仰ってることですがとにかく主演のBrightWinがかわいい。また、すれ違う恋愛模様やときめき仕草などが随所に散りばめられており、キャーキャー言いながら見られるのが良い(ただ、細かく見ていくとツッコミどころもあるとは思うが)。主人公のタインとサラワットの、なんだかちぐはぐなようで、何やかんや相性のいい関係性が見ていてほっこりする。

 

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「2gether」をきっかけに、様々なタイBLを見たくなったので現在色々追っかけ始めている。今は「2gether」でタインの友人・フォン役を演じたKhaotungの主演ドラマ「Tonhon Chonlatee」を見ているが、Poddさん演じる相手役のホモフォビアが中々しんどいなど、ツッコミどころが多い。でもそれなりに前のめりに見ているので、ツッコミを入れつつ物語に没入してはいるんだと思う。

2020年に出会えて良かった音楽

BTS「Map Of The Soul: Persona」

 

Boy With Luv (feat. Halsey)

Boy With Luv (feat. Halsey)

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元々MAMAMOOが好きだったのでBTSもそれなりに見てはいたものの、2020年に初めてCDを買ってみた。それがこの「Map Of The Soul: Persona」(2019年発売)だったのですが、全編を通してどんなに自分たちが世界のメジャーなステージに立とうともファン(ARMY)の元へ帰ってくるよ、ファンの愛に僕たちは生かされているんだ、っていうメッセージが表現されていてこんなにファン思いのアルバムある…?と感動してしまった。優しい世界が広がるアルバムだと思う。このアルバムだけでなく、BTSのいくつかの作品に共通して描かれる「自己愛」のコンセプトもいいなあと思っています。推しはJ-HOPEさんとSUGAさんです。

Dua Lipa「Dua Lipa」

New Rules

New Rules

  • Dua Lipa
  • ポップ
  • ¥255
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MAMAMOOのファサをフィーチャリングした「Physical」から気になってチェックしたデュア・リパの1stアルバム「Dua Lipa」(2017)が良かった。温度感が丁度良いというか、めっちゃキラキラバキバキなエレクトロニックサウンドではなく、若干の低体温さが性に合っていて心地いい。「New Rules」の言い聞かせる感じと最後の吹っ切ろうな!というメッセージ、あとMVがものすごく好き。 

Lady Gaga, Ariana Grande「Rain On Me」のパロディ

Lady Gaga “Rain On Me with Ariana Grande” Official Parody - YouTube

レディーガガの曲の中で一番好きかもしれない。アリアナの歌がカットインすることでポップさが増してるのかも。あと、渡辺直美ゆりやんレトリィバァのパロディが見ていてクセになるクオリティの高さで、思い出した時に何回も見てしまう。足に刺さった団子食べるのか〜みたいなお笑い要素も持たせつつ、本家にリスペクトを払ったパロディだとこんなに魅力的に仕上がるんだな、というのが新鮮だった。ガガ&アリアナもかわいいけど、直美&ゆりやんもかわいい。

私たちは手を取り合って駆け出す - 映画『お嬢さん』を観た

お題「ゆっくり見たい映画」

映画『お嬢さん』を観ました。※ネタバレありの感想を書きます※

 

f:id:kyanakoforyou:20200608234305p:image 

お嬢さん(字幕版)

お嬢さん(字幕版)

  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: Prime Video
 

 

youtu.be

 

私たちは手と手を取り合って、外の世界へ、暴力的な眼差しの届かないところへ逃げる。

キム・ミニ演じる秀子お嬢さんと、キム・テリ演じる侍女のスッキが屋敷を出て草原を駆け出すシーンがあまりに美しく輝いていて、何度でも感動してしまう。

 

藤原伯爵(ハ・ジョンウ)と結託し、秀子を騙して財産を奪う目的で侍女として秀子に近づいたスッキは、秀子と一緒に過ごすうちに、秀子に対して愛情を感じ始めていた。

しかし、同様にスッキに惹かれていた秀子からの告白により、実は秀子自身も伯爵と結託しており、スッキを騙して叔父(チョ・ジヌン)の監視下に置かれた屋敷から逃げようとしていたことを知る。スッキと秀子は手を結び、自分達を利用しようとした伯爵を出し抜くことに決める。

 

秀子とスッキが屋敷を抜け出す前に、秀子は地下の朗読部屋へとスッキを案内する。朗読部屋は、秀子が叔父や客人の紳士の目の前で官能小説を朗読させられ、苦痛を味わってきた空間だ。スッキをその中に入れ、叔父の保管する官能小説や生々しい春画を見せると、秀子がこれまで受けてきた仕打ちにスッキは激昂する。

スッキは本を破り、インクでページを汚し、朗読部屋をぐちゃぐちゃに破壊した。幼い頃から叔父に厳しく調教され、性的に搾取され続けてきた秀子を、スッキは“破壊”によってその呪縛から解放した。

朗読部屋は秀子を縛りつけていた人生の象徴であり、スッキが怒らなければ、スッキが壊さなければ、秀子の人生は決して動き出さなかった。スッキは文字通り、秀子の人生を壊しにきた“救世主”となったのだ。

冒頭に述べた、秀子とスッキが手を取り合って草原を走っていく場面は、この朗読部屋の破壊に続くシーン。精神的にも肉体的にも解放され、自由へと向かっていく秀子とスッキの表情は晴れやかで、キラキラとした希望に満ちている。

私がこの場面を見て感動するのは、きっと自分がいる世界の外にも世界は存在していて、もっと自由になれる可能性を感じられるからだ。私がスッキとなって孤独な人を連れ出すことも、私のスッキを見つけて連れ出してもらうこともできるかもしれないと思えるから。

 

どこかで違和感を感じていたとしても、長期間にわたって刷り込まれてきたことに対して人は抵抗力を失っていく。

例えば、友人が会社での力関係を気にして上司からの夜の誘いを断れなかったことや、怒鳴ったり重い扉のついた密室で説教したりすることで、支配的にチームをコントロールしようとしていた上司のことを思い出す。私はあの時、友人たちや自分のためにもっと怒り、暴力的な眼差しを断つことができたかもしれなかった。

社会の中に長い間滞留し、もはや“常識”となってしまったおかしな刷り込み、それに乗じた不躾な眼差しは膨大な数存在している。でも、私はそれらに対して怒ることができるし、壊すこともできる。その可能性を『お嬢さん』の逃避行のシーンは示唆してくれる。私たちは手を取り合って、暴力的な眼差しの無い世界へ、自由な世界へ走って行けるのだ。

 

※補足:石垣を飛び越えて外に出るのを躊躇う秀子お嬢さんのためにスッキがスーツケースで踏み台を作る場面があるのですが、秀子のスーツケースが汚れないように、自分のスーツケースで秀子のスーツケースを挟むようにさっと積み上げたところにグッときました。

踏み台を用意してお嬢さんの手を取るスッキかっこ良すぎるやろ……。

駆け抜けるモーション、90分間の逃避:東京事変再生

東京事変 Live Tour 2O2O 『ニュースフラッシュ』

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東京事変がいきなり再生した。いや、いきなりではなかった。2012年の閏日に解散した彼ら。そこから2回目の閏日に再生する。これは最初から仕組まれていた再生だったのだろうか。

2012年閏日の解散ライブに参加した私は、東京事変の解散をどこか受け止められないまま、現実感のないままライブを見ていた。だから悲しいとも寂しいとも思っておらず、ただ私の中にぽっかりと大きな穴が空いていた。東京事変に使うはずの時間や熱量を向ける矛先がなくなった、ただそれだけ。私の中に空いた穴は、他の何かが、例えば恋愛や日々の生活、アイドルなど、他の何かが埋めていった。椎名林檎の活動もまた、東京事変を失った喪失感を“一つのいい思い出”に変えていった。

でも、直に目の前のステージに立つ彼らを8年ぶりに感じた時、本当は自分が渇望していたのだと分かった。東京事変の実演。東京事変の新曲披露。彼らは“思い出”ではない、生身で躍動している。

 

東京事変が解散したばかりのとき、周囲から「東京事変より椎名林檎の方が良くない?」と言われるたびに、それってシチューよりカレーの方が良くない?って言ってるのと一緒だよね、と思ってきた。カレーも好きだけど、シチューを一生食べられなくなったら困る。何よりカレーもシチューも好きなように、椎名林檎東京事変も好きだ。

東京事変のバンドサウンドを私は待っていた。生の息遣いが感じられる、直球ストレートのサウンド。1曲目から泣いていた。正確には、幕が上がる前、パスワードを入力するとメンバーの名前が次々に承認され表示されていく、その演出の時点で泣いていた。嬉しいとか、感動とかではなく、名前がつけられない感情。正確に言うと、ぶっ飛んでぐちゃぐちゃになって真っ白だった。

序盤で披露された「群青日和」は、8年前の解散ライブのアンコールでも披露された曲。8年前茫然としていた私が、あの日初めて泣いたのは「群青日和」だった。新宿は豪雨、デビュー曲には東京事変アイデンティティが詰まっている。音がキラキラして眩しい、ステージに立つメンバーが発光して見えた。

全編英語で歌詞を綴った「復讐」は、物々しくサスペンスな世界観の映像がモニターに映し出され、真っ赤なライトがステージを支配した。テロップに表示される歌詞と、演奏する東京事変を見ながら、「復讐」の持つ怒りの表現がここまで強いものだったのかと改めて気がついた。描かれているのは、若さを礼讃する偏った美意識の盲目さ、そしてそれに対する怒りだった。「女は若い方がいい」「こういう服を着ていいのは~歳まで」といったような、「若さ」に価値を置く罪深さを身を以て知ったのは、東京事変が解散し、学生だった私が社会に出てからのことだった。

 

東京事変サウンドの強さや個性は昔から知っていたつもりだったけど、改めて聞いてみてもやはりものすごい音だった。凄まじくパワフルでエネルギッシュだった。揺れるシンバルからうねるように響く金属音と重くて分厚いバスドラ、撃ち抜くスネア、会場を抜けていくように鳴るベース、奔放で躍動的なギター、研ぎ澄まされたスタイリッシュなキーボード、鋭いヴォーカル。条件反射で涙が出ているのかと思うほど、涙が止まらなかった。明らかに私はキャパオーバーだった。

東京事変が作り出す音の渦の中にノスタルジーは全くなく、全てがフレッシュ。メンバーは涼しい顔で演奏していた。あまりにスマートでかっこよくて、ずるかった。あれから8年も経ったけど、彼らは相変わらずかっこよくて、自分はあまりに凡庸だった。東京事変を見て自分もあんな風にかっこいい大人になりたいと思っていた私は、この8年間どう過ごしてきたんだっけ、と少し自分にがっかりしつつ、少しでも彼らのような凛とした佇まいに近づきたいな、と思った。

 

私が8年前に、自分のノートに書き残した感想は3行。「空が鳴っている」の“諦めさせて”というフレーズの前に入る、全体の休符の緊張感を忘れないということ。そして、「透明人間」が今までで最高だったということ。 

8年前の私へ。「空が鳴っている」の“諦めさせて”や休符の部分は、静止(ポーズ)ではなく呼吸(ブレス)だった。止まっていないから緊張もしていない、地続きになっていた。ダンスが次の動作と連動しているように、休符は次の音符と連動している。息を吸う、振りかぶる、音を鳴らす、これらは全て1つのモーションだった。東京事変の音が動き、空間を満たしていく。異次元に入り込んだような気分になった。

8年前の私へ、パート2。東京事変はまたラストに「透明人間」を披露してくれた。尚且つ、今までで最高でした。透明は色を持たないからこそ、めちゃめちゃカラフルだった。

 

ところどころに存在していた空席、アルコール消毒液・うがい薬・体温チェックを完備した厳戒態勢の会場、マスクや手袋を装着して物販や誘導を行っていた係員の方。本当に万全の態勢だった。コロナウイルスが蔓延し、普通の日常や娯楽が消えていく中で、何も語らず決行を決めた東京事変。目を背けたくなるような現実から、束の間のあいだ逃避させてくれてありがとう。異次元にトリップできた、その事実が背中を押してくれるから、現実でも目をそらさずに生きていける。

ほぼ泣きながら見続けた90分はあっという間だった。まさに速報“ニュースフラッシュ”の如く時間が駆け抜けていった。終演後に会場を出ようとすると、出口にはアルコール消毒液を持って、観客の手にアルコールを吹きかける係員の方が待機していた。係員の方に手を差し出し、消毒液をかけてもらったその瞬間に、私は現実に戻った。夢のような時間が終わった寂しさと、また東京事変に会えた嬉しさの実感が同時に押し寄せて、東京国際フォーラムを後にした後もしばらくの間、顔をさわれず涙を垂れ流しにしたまま帰路についた。

女と女、私と「彼女」たち

下北沢B&Bで開催された、上村由紀子さん×高野しのぶさんのトークイベントに行った帰り、ひらりささん編集企画の同人誌「女と女」をサッと購入した。Twitterで情報を見て以来気になっていたし、近くの席の方が「劇団雌猫が……」と話しているのを聞いて「はっ買わなければ!」と思ったのだった。

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↑表紙がいつも可愛い…上村由紀子さんが前述のトークイベントで、上手、好きだと思う人の文章を全て読む、というようなことをおっしゃっていたので劇団雌猫さん関連の本を網羅的に読んでいる……。

「女と女」に綴られていたのは、ごくプライベートな女と女の思い出の数々。その一つ一つが光を放っていた。

中でも、一番最初の「友達でなくなりつつあるあの子へ」が特に刺さった。友人の結婚ラッシュとタイミングの合わなさに直面していた私は、ちょうど「女友達」の関係性の変化について思いを馳せていたから。発言小町で似たような境遇の人を探してみたり、推しのライブ配信のお悩み相談コーナーで「友達と会えなくて寂しい、どうしよう」と投げかけてみたりしていた。結局発言小町を見ても安心するような答えには巡り合えず、推しには私のコメントは拾ってもらえなかった。当たり前か、重たかったよね。

booth.pm

 でも、「友達でなくなりつつあるあの子へ」をはじめ、「女と女」を読んでいくと気持ちに折り合いがついていくようだった。様々な人の思い出に触れることで、自分の思い出にも触れているような気になり、優しい気持ちになった。

ふと自分も、私の人生において印象的だった女性を振り返ってみようかなあと思った。私と、「彼女」。有名な人も、私の周囲にいた人も、その「彼女」に当てはまる。

 

椎名林檎

人生は夢だらけ

人生は夢だらけ

  • provided courtesy of iTunes

 

 この人がいなかったら今の私はいない。大袈裟ではない。私が今まで生き延びてこれたのは、椎名林檎のおかげだと思う。憧れが人を生かす。好きが人生を喜びで満たしてくれる。椎名林檎のファンになった中学生の時期は、自分も周囲も不安定だったけど、椎名林檎が私の柱になってくれていた。4GBの細長いiPod nanoを握りしめて、通学の行き帰りは可能な限り椎名林檎の曲を聞いていた。そして、椎名林檎から派生する全てのものが好きになった。授業中に回文を作ったり、旧仮名づかいで手紙を書いたりしていた。「無罪モラトリアム」も「勝訴ストリップ」も大好きだったが「加爾基 精液 栗ノ花」が一番好きだった。当時は言葉の意味が難しくて理解できていなかったが、ディジュリドゥなど色んな珍しい音が聞こえること、映画を見ているかのようなドラマチックな曲の展開に夢中になっていた。

加爾基 精液 栗ノ花

加爾基 精液 栗ノ花

  • アーティスト:椎名林檎
  • 発売日: 2008/07/02
  • メディア: CD
 

大人になって、ふとなぜあの時の私はあんなに熱狂的に椎名林檎のことを好きだったのだろうか、と思う。

それは、おそらく彼女が自由に見えたから。ナースの格好をしても、過激な歌詞を歌っていても世間から認められる椎名林檎が自由な存在に思えたから。おそらく実際は彼女は全く自由ではなく、彼女なりの抵抗の1つの形だったのだけど、大人になってみたらそれも共感できる。自由であるように振舞うことで、不自由な社会に抵抗してくれていた、そんな風に私は彼女の活動を受け取った。  

椎名林檎さん、世間に向けて戦ってくれてありがとう。そのおかげで、これからも頑張って生きていける。私だって抵抗する。

MAMAMOO

[MV] 마마무(MAMAMOO) - HIP - YouTube

 

HIP

HIP

  • provided courtesy of iTunes

 

「HIP」を聞いて、沼に落ちかかっている。私の推しであるふぉ〜ゆ〜(※ジャニーズの4人組男性アイドル)と同じ、4人組の女の子。4人とも、クールでかっこよくて可愛い。MVがまじでいい。キラキラファビュラスガールズトークみたいな感じ。華やかで夢を見せてくれる、まさにアイドル。ちょ、まじハングル勉強するわ。輸入盤CDほしい。しかもペンライトが大根の形らしい。可愛すぎる、ほしい。

金髪チャーミング、おきゃん(表現古い?)な女の子はソラ。

美人で声が低めでかっこいい、つかもはやイケメン、宝塚の男役を彷彿させる凛とした佇まい、ストリートテイストの衣装がめちゃくちゃ似合うムンビョル。

クールビューティー、めっちゃ圧倒的な存在感。歌のビブラートが素敵。なんとなくマイペースそうなファサ。

親しみやすそうで笑顔が可愛い。普段の仕草がファニー。歌が印象的なフィイン。

何より「HIP」がめちゃめちゃいい……あの4人でピースするとことか!セーラームーンかあんたら?!かっこよくて可愛くて憧れる!箱推しするかも……。あとMVがカラフルでいちいち可愛い。着飾って女子会に向かう時の、キラキラした無敵感がある。今度来日してくれる時は、是非とも現場に向かいたい、、!

B'zの稲葉さんラブな先輩

 前にいた会社の先輩は、新卒で入社した私を初めてサシ飲みに誘ってくれた人。よく飲みに行って、休みの日に鍋パーティーをするなど仲良くしていただいた。私のぐるぐるした悩みをカラッとした観点から軽やかにしてくれる、頭が良くて心が広い女性、そして自由でちょっと変わっている。オールで飲んだ朝に百貨店に行って、先輩のお母さんにプレゼントする指輪を一緒に選んだこともある。また別の日には、私が先輩の家に泡盛をこぼしても全く怒らず、夜に食べるのを忘れていたケーキを食べ、なぜかその後カレーを食べに行った。楽しかったけど振り返って文字に起こすとちょっと変てこな思い出だなと思う。

先輩は恋愛体質的なところがあり、ちょうど仕事で追い詰められている時期と、恋愛の苦しい時期が重なっていた時は外から見ていても辛そうだったのを覚えている。その時期の先輩は、会社の偉い人たちと一緒に飲みに行った際に酔っ払って椅子から転げ落ちたと言っていた。先輩は私が辞めるよりも前に会社を辞め、海外へ移住した。私も、それから程なくして会社を辞めたが、その直前に会社の飲み会で酔っ払って上司への不満を撒き散らし、大人数の前で座敷から転げ落ちた。人は会社への不満が溜まりすぎると椅子から転げ落ちるのだろうか。

先輩が度々かっこいいと言っているのはB'zの稲葉さん。先日も「稲葉さんが夢で歌を教えてくれた」とLINEがきた。ちょっとしたことで絶望しがちな私に、人間って魅力的な存在だと教えてくれるのは、いつもこの先輩な気がしている。

竹内まりや

ハロゲンライトの光る幹線道路の側に住んでいた時に「プラスティック・ラヴ」を鬼のように聞きまくっていて、まりやさんの描く恋愛ゲームと夜の世界に浸りに浸っていた。まりやさんは不思議で、歌詞の言葉にはどろっとしたところがないのに世界の苦味を感じさせる。

「閉ざした心を飾る派手なドレスも靴も孤独な友達」

「グラスを落として急に涙ぐんでもわけは尋ねないでね」

いつもどこかしら武装して生きてきた、でも、攻撃的ではない、でも、はっきりとした主張。まりやさんの言葉の素敵さには到達できる気がしない。

山下達郎竹内まりやを評する時「人間への強い肯定感」という言葉を使う。私には到底難しくてできない。自己肯定感だって持つのが難しく、人間という存在そのものへの肯定をするのがこんなに難しいというのは、大人になってからわかったことだ。人間への肯定や信頼は、まりやさんの音や言葉に、確かに溢れている。だからこそ、自分に足りないからこそ、私はまりやさんの音楽を聞いている。

素敵な洋服販売員の皆さん

前に勤めていた会社がアパレル関係だったこともあり、洋服の販売員の皆さんを見ると応援したくなる。全ての洋服を買えるような富豪ではないので試着しても買わないこともあり、そういう意味では推しにお金を落としきれていないですが……。

学生だった時にバイト代でセールのアウターを買いに行った時、学生相手にがっつり接客についてくれた方、あとから店長だとわかったが、その方は接客のプロだったと思う。「学生さんですか?」から始まったそのやりとりに不快だと思うパートや違和感は1つもなく、むしろこんなに温かく接客してくれるなんて!と感動した。軽い足取りで、買ったばかりのコートと共に家に帰ったのを覚えている。

会社に勤めるようになって、仕事で洋服の販売員に接していくと、長く販売の仕事を続けている人ほどやはり気配りや思いやりが半端ではなく、社歴で見れば部下に当たる私にも丁寧に接してくださるベテラン販売員がたくさんいた。忙しい中で、面倒なはずなのにちゃんと向き合って指導してくれた。もちろん販売員みんながそういう人ばかりではないけれど、洋服を売る以外にすごく細かいところまでサービスを考えているような人が多い。お客様に似合うコーディネートを考えたり、お客様と共感できる話題について勉強してみたり。

たまに「アパレル店員に話しかけられるのが嫌だ」というマニュアル接客を揶揄するようなネタが披露されているのを見るとちょっともやっとしてしまう。画一的な固定概念を外部から植え付けるのはやめてくれ。私が見てきた販売員さんは、若い人もベテランも、どの人もマニュアル的な声かけなんてしないし、コミュニケーションが好きで思いやりのある人ばかりだったから。新人の子は立ち振る舞いに慣れておらず、少々もたついてしまうこともあるけれど一生懸命さは必ず伝わってくる。情熱を持って服を売っている販売員さんは世の中にたくさんいる。

植本一子 

かなわない税込1,496(2020/07/18時点)

 ブログや日記を意識的に残すようになったのは、植本一子さんの『かなわない』を読んでから。良い日・悪い日のようにパキッと分類できない日常を暮らしていく身として、その日にあった嫌なことも、良かったことも、貴重な思い出として残していきたいな、と思えたのは、植本さんの文章があまりに生活に基づいていて、あまりに真摯だったから。『かなわない』は文体は淡々としているけれども、時に感情的で、時にあまりに俯瞰していて、感情移入というよりも私が書き手であるかのような没入の仕方をしたのを覚えている。

植本一子さんもまた、「人間への肯定」が見て取れる作家。とても素敵で大好きなのですが、とあるイベントでご本人が店頭に立たれていた時に、あまりうまく話すことができず変なことを口走ってしまい、精進が足りないな、と反省した。  

学生時代好きだった先輩

私は女子校に通っていたため、学生時代に熱狂的に好きだった部活の先輩は女子だった。好きといっても、どうなりたいという願望がなく、ただ単に好きだった。推しに限りなく近い存在であった。言葉を交わすだけで、目と目が合うだけで本当に嬉しい。廊下で遭遇するとときめく。部活で指導してもらうとときめく。年賀状や暑中見舞いの葉書を大事にとっておいたり、文化祭で一緒に写真を撮ってもらって友達とはしゃいだりしていた。部活内の暑中見舞い文化って今でもあるのかしら。

先輩がバンドを組んでいたのを真似して、私も友達とバンドを組んだ。先輩のバンドがGO!GO!7188の「C7」や「浮舟」をコピーしていたのを見て、猛烈にGO!GO!7188ばっかり聞いていた。

鬣

  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

ただ、当時を思い返すとそんなに親しくしてもらっていたわけでもなく、先輩と私の距離感は遠かった。はちゃめちゃに一方的な片思いだったし、彼女は私にとっての推しであり、アイドルだった。先輩のことを好きでいた期間の部活や学校生活は楽しかった。先輩の引退とともに、部活への熱意もだんだん冷めていき、学校生活にも飽き始めていたように思う。

そう考えてみると、対象が変わっただけで今も考えていることはそう変わらない。先輩は推し活の原初的な体験だったのかもしれない。推しがいる人生って楽しいよな!!

金原ひとみ

 金原ひとみは、日々私が持つぐるぐる/もやもや/どろどろをあまりに的確に言語化してくれる作家で、心情表現が細かくて丁寧で本当に好きだ。心の中にそっと寄り添ってくれるような気がする。 

持たざる者税込572(2020/07/18時点)

特に、『持たざる者』が好きだった。震災以降、どのような行動を選択したのか?を表現しながら、日常を生きる人々の心の揺れを描いた作品。面白いのは、それぞれ異なる立場に置かれたキャラクターのそれぞれに、少しずつ感情移入できる。原発事故の時の言いようのない不安が、日常に侵食して、でも日常に流されていく様を思い出す。もう、思い出す段階になってしまった、あの感覚。あのときはあんなにリアルだったのに。

あとは、生活の描写も現実的で、例えば我が道を生きること、どっちつかずの恋愛、家族の厄介な関係性とかが描かれている。ああ、これって、こういうことってあったよな、とか友達から聞いたな、という感じがありありと思い出される。

 

あと、パリから帰国してきた時のエッセイ「パリの砂漠、東京の蜃気楼」も好き。パリと東京、それぞれの空気、風当たりが感じられてよかった。空虚な飲みの後に、お腹が空いていないのにコンビニでおにぎりを買って、家に帰ってお酒を注いで、そのまま寝るという行動は私も何回かやったことがある。

村田沙耶香

私にとって、内面を言語化してくれるのが金原ひとみなら、自分がいる世界を俯瞰で見ることができるのが村田沙耶香村田沙耶香は現存する世界のあり方や、世界の変容可能性を鮮明な手法で示してくれる。

 

しろいろの街の、その骨の体温の税込1,386(2020/07/18時点)

 

思春期の女の子が主人公の『しろいろの街の、その骨の体温の』は、学生時代の記憶を外から見ているような感覚になったし、『消滅世界』は夫婦間の性行為が「ありえないもの」「汚らわしいもの」としてタブー視され、子供は人工授精で授かるもの、という認識が当たり前の世界を描いていて、いつか本当にそういう世界が来るかもしれないな、と思った。『コンビニ人間』では、コンビニ店員としての生き方に順応しきった主人公と、世間のずれが表現されているが、しばしば「世間の当たり前」って当たり前なのか?ずれているのはどっちなの?と考えずにはいられなくなる。いわゆる普通とされる生き方に、形式的でも順応してみようとする主人公に対して、周りの評価が急変する場面にはぞっとした。

 エッセイの『きれいなシワの作り方 淑女の思春期病』も面白いです。

 

きれいなシワの作り方~淑女の思春期病税込754(2020/07/18時点)

友達未満だけど仲良くしてくれたパリピギャル

同じ学校だけど全く同じグループに属さなかったパリピギャルと、通っていた予備校が一緒だったため少し仲良くなった。彼女はいわゆるカースト上位のグループに属していたが、攻撃的になったり悪口を言ったりするタイプではなく、どこか客観的に自分や自分の周囲を見ていたところがあった。自分が所属するグループの子を「あの子たちは自己愛が強いから」と言っていたこともあった。

高校は校則が厳しかったため、スカート丈や染めた髪のことで彼女はしばしば校長や生徒指導の教師から呼び出されていた。でも、彼女は教師に対し「え、でもスカート短い方が可愛くないですか??」と突っぱねたらしい。かっこいいしちょっと笑える。

高校卒業後も、予備校の友達との集まりで時々顔を合わせていた。あまり詳細を思い出せないが、公園でタバコを吸う彼女とぼーっと大学生活について話したような気がする。

彼女は椎名林檎が好き、という私との共通項があった。2012年2月29日、東京事変がその日をもって解散する日本武道館公演のチケットを幸運にも入手した私は、彼女と一緒に行くことにした。確か、雪がまだ残る寒い日だった。お互いに会場の前でガラケーで写真を撮りあったが、一緒のフレームに写ることはなかった。当時のガラケーには、おそらく武道館の前で佇む自分の写真のみが残っているはずだ。

私は「群青日和」を聞きながら号泣していたが、彼女は穏やかな顔でまっすぐ東京事変のステージを見つめていた。東京事変のライブ以来、彼女とは連絡を取っていない。

夏の能動的娯楽の記録パート1:「エリザベート」観劇

今年の夏は「エリザベート」の夏だった!!!

6、7、8月と3ヶ月にわたって上演していたと言うのに、あまりのチケット激戦で、1回しか見に行けなかった私……甘さを痛感しました。みんなどうやってチケット取ったのよ。

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何回もイープラス・ぴあ・ローチケをにらめっこしては当日券の電話をかけ、東宝ナビザーブの補助席にももれなく申し込んだのに惨敗してしまった……。大千穐楽の時に、2020年公演が発表されたのだけど、各都市1ヶ月ずつ公演するとのことで、それはそれで激戦の予感!絶対チケットを取ろう、チケットを取る。今から気が気じゃない(早い)。

「Endless SHOCK」の他にチケットとるのに神経使う舞台が増えてしまって嬉しいやら何やら。 


『Elisabeth』 2019 JAPAN TOUR

 

ハプスブルク家に嫁ぎ、皇后となったエリザベートは、結婚と引き換えに自由を失ってしまう。加えて、少女のときに木から落下し一命をとりとめて以来、まとわりつく死の影。それは闇の帝王からの求愛であった。滅亡へと向かっていくハプスブルク家と、自由を求めるエリザベート。そして、闇の帝王の愛の行方は……?!

 

あーーードラマチックだーー!かいつまんでもこんなにドラマチック。さらに、皇帝と結婚したばかりに、宮廷の制約や、姑からのいけずに押し潰されそうになりつつも、自分を保って生きていこうとする強さには、時代や境遇は違えど共感する。私も社会に出たときに、自由がない、と思ったよ。「なぜ、これをしてはいけないの?」に答えてくれる人も、明確な答えも存在しないのに、そのままに従わなくてはいけない不自由な世界。「エリザベート」を観ていると、自由に生きたいよね、やっぱりそれがいいよね、と言うことに自信を持てる気がする。

 


『エリザベート』2019年8月25日(日)夜の部カーテンコール映像

 

私が見に行ったのは井上芳雄さんがトート、愛希れいかさんがエリザベートの回。フランツは田代万里生さん、ルキーニは成河さん、ゾフィー涼風真世さん、ルドルフは京本大我くんと、もっとも観たかったメンツを見れたのはよかった。京本大我くん、繊細な美しさと歌のうまさに驚いた。まあ欲を言えば、お花様(花總まりさん)シシィも観たかったのだけど。ずっと憧れというか、井上トート×お花様シシィのDVDを観続けてたから、生身の彼らも観てみたかった。

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堂本光一×井上芳雄、ジャニーズ界とミュージカル界のプリンスがともに主演した「ナイツテイル」からはや1年。光一さんも変わらず大好きですが、芳雄さんのことも「ナイツテイル」以降大好きになってしまって、生まれてこのかた何回目だって感じですが沼落ちしました。

芳雄さんのいいところは、私が言うまでもないんですけど足が長くてハンサムで歌が超うまくてハンサムで足が長くて歌が超うまくて足が長くて歌が超うまいところですね。芳雄さんの歌はうまいっていうか、その、うまいみたいな上から目線の言葉じゃなくて「伝わる!」ものすごく伝わる歌で浸透圧がすごいのです!直!耳で聞いているというよりも直で入ってくるような感じがする。「この感覚はなんだ?!また聞かなくては!」という気にさせるよね。

「ナイツテイル」見たときのこと思い出したけど、本気でステージに王子が二人いる!と思ったもんな…高貴な二人……。高貴でハンサムで身長差のある王子二人……!「はっ私って光一さんのファンじゃなかったっけ?言うても圧倒的アーサイト様派じゃなかったっけ?」みたいなかすかなモヤモヤから沼落ちするまでは、そんなに時間はかかりませんでした。

www.tbsradio.jp

芳雄さん、ラジオ「井上芳雄 by myself」がとても良い感じです。毎週生歌を聴ける(収録の時もある)!というのと、まあまあゆるゆるな感じ。米津玄師の「Lemon」歌った回はちょっと忘れられないわ。多分、クリスマスイブ?とかで、私はあまりうまく振る舞えなかった飲み会の帰りにラジオを聞いていて、「Lemon」が染み渡って電車のなかで泣いた。

大貫祐一郎さんのピアノの感じも好きだったし、息子がこの曲好きなんですよねー、と話しながら歌う芳雄さん。よかったな。後日のテレビで、その時の歌はあんまし出来が良くなかったみたいに言ってたけど。私は良かったと思ったんだよね、独特の緊張感も含めて。

柚希礼音さんとデュエットした、スカーレット・ピンパーネルの「君はどこに」も良かったなー。あと、「ジェリクル・ソング」と、上白石萌音ちゃんと歌った「牢番の娘の嘆き」も。ちょっとだけ泣いてちょっとだけ死ぬ歌。

単純に、ミュージカルっていいな、歌っていいなと思わせてくれるところが芳雄さんのいいところだと思う。歌手の人って歌うのが当たり前、みたいにいつの間にかなっている、というか受け手としてはそう見えるところがあるけど、「あ、この人は、歌が好きで歌っていて、それでこんなに素敵なんだな」と思わせてくれるところ。それは上白石萌音ちゃんにも感じることで、歌が単なる手段になっていなくて、歌はその人だと思える、というのがとても良いと思います。2人が「ナイツ・テイル」以来の共演を見せる「組曲虐殺」も楽しみだなー。

 

前置きが前置きではなくなりつつありますが、2020年の公演が決まったので、2019年時点のエリザベートの好きなところを羅列しまーす!!!

エリザベートで好きなところ〜

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不幸の始まりのトートの身振り&歌

まず思ったのは客席に閣下がァァァー!ということ。あの場面では舞台下の下手のところに佇んでいらっしゃるトート閣下。二階から見ていて、確実に目の前の席にいたら失神するか堪えきれずに絶叫するに違いない、どちらにしても周りの方に迷惑をかけるし命拾いした…と思った。そして動きの端正さと無機質さが、「あ、この人は異世界の人だ」と思わせる。儀式的な舞と確信に満ちた表情。スッと伸びる腕。切れ長の目。普段の優しそうな芳雄さんのお顔とは明らかに異なるギラついた表情。はあ、ギャップ萌え。観ている最中に、私は結局のところトート閣下と芳雄さんのどちらがより好きなんだろうか、とか余計なことを考えてしまった。

芳雄さんの節回しで好きなのは「めつぼう〜」「みなもと〜」のところ。撃ち抜くような力強さと、それでいて抑えた感じが怖い。あと「少しずつ教えよう」の噛みしめる感じも良いですね。そうなると、ほぼトートのパート全部ですね。勿論最後の高笑いも大好きです。劇場で見てると色んなところから色々な「はっはっはっは……!」っていう笑い声が聞こえて楽しいです。3D高笑い。

あと、幸せの絶頂であるはずのエリザベートの結婚式が、実は不幸の始まりだった……というドラマティックど真ん中な設定もたまらないです。トートはそのことを知ってたんだか知らなかったんだか。

というのも、おそらく「不幸の始まり」のトートとしては、“俺にはこの結婚がうまくいかないことなどわかっている”みたいな根拠のない確信というか、どうせ最後は俺のものにみたいな、変な自信は絶対持ってるんだけど、なんつーか、全てを知っているわけではないのかな、と。事の全てを知っているのはあくまでストーリーテラーのルキーニであって、エリザベートが木から落下した時に死なせずに命を許した、そして愛に目覚めた時点でトート自身の思惑にも狂いが生じ始めていたのではないかと思うのです。運命の大きな歯車の中に、ときの女王だけでなく闇の帝王も巻き込まれていた。運命っていうものの不確かさと劇的な感じが伝わってゾクゾクします。

あと、一幕最後の肖像画ドレスも大好きだけど、ウエディングドレスもかわいい。

f:id:kyanakoforyou:20190916123742j:imageクリアファイル&キャラクターメモ

体操室の全て

シシィが吊り輪でトレーニングしようと思ったら体調不良で倒れてしまう場面。これは、吊り輪が出てくるところから終わりまで全てが好きで好きで仕方がない。シシィが体操するときの衣装って、タイブラウス&コルセット&ジョッパーズパンツみたいなやつなんですけど、あれ高貴な体操服な感じがして素敵。で、トートが医者のドクトル・ゼーブルガーを装って登場するんだけど、その怪しげな空気感。じわじわ追い詰められるシシィ。「脈は?微熱が。青い顔色」って言いながらシシィのブラウスのタイをほどいたりコルセットを外したりしていくドクトル・ゼーブルガー(トート)。あーやーしーいー!!!

 

そして何と言っても、

シシィ「……命を絶ちます。」

トート「……それが良い。エリザベート!待っていた!!」

から始まる「今こそ!出かけよう、黄泉の国へ〜〜♪♪♪」

 

……ちょっとトート閣下いきなり浮かれすぎでは?!?着ていたコートとハットをバサッと脱ぎ捨てて、アラジンのホールニューワールドばりに二人の世界へと持っていこうとするトート様(このときの衣装はスケスケのブラウス)。

いやいやシシィは今夫の不貞発覚したばっかりやねん。しかも体調も悪いねん。確かに死にそうではあるけど本当に死にたいわけではないんやで。そら「待ってよ〜〜!」言うわ。ちょっとお待ちなさいよ。

でもそんなことはお構いなしのトート閣下。さっきまでシシィが横たわっていたベッドに勝ち誇った顔で足を伸ばしています(足が長すぎる)。このときのトートの周りにはキラキラオーラが見える、ウキウキキラキラオーラ。ちなみにトート様の登場ポーズ、この場面以外にも何かと足を伸ばしがちで、どんなに装置が斜めになっていても変わらず腰掛けて足をのばしている(芳雄さんは傾斜がきつくてたまに滑りそうになるとラジオで言っていた)。

全然笑える場面ではないのですが、ちょっと色々こんなことを考えて、フフフフ、ニヤっとしながら見てしまった。この場面の最後に、エリザベートにきっぱり「違う!」と言われるところまでしっかり好きです。凛としたエリザベートと、一瞬呆然としてから、フンってなるトート。しかも、このときはこんなにすぐ黄泉の国に連れていこうとしたくせに、後になって息子のルドルフを亡くしたシシィが「連れて行って!」と懇願してもその時は連れて行かないんだよね。どんだけツンデレなんだよ、トート様。

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日比谷シャンテコラボ。チケットホルダー欲しくて頑張ったのでシャンテに詳しくなった。 

ゾフィーの死

これはトート閣下が、と言うよりも、ゾフィーの苦悩も垣間見られると言う点で良い場面。世継ぎに対して厳しく、冷酷に教育をしてきた皇太后ゾフィー自身も、宮廷の中で自由を制限されてきたはずだと言うことに気がつく。息子のフランツから見放されて、「優しさより厳しさを 心殺して努めたわ」って死に際に言い残していくなんて、本当に切ない。ゾフィーだって“母親”で、“母親”としての子育てを望むシシィに共感していた部分も本当はあったのではないか、我が子や孫をしつけている時も本当は辛かったのではないか、と思う。抑圧に耐え抜くために愛情を押し殺してきたゾフィーは、どこかで自由を求めるエリザベートが羨ましかったのだと思う。

 

本当はこの3つ以外にも好きな場面いっぱいある。ルキーニが皇室グッズを叩き売りながら歌う「キッチュ」はテンション上げ上げで拍手するし、フランツがエリザベートに愛の証として首飾りをかけてあげるところとか、1幕終わりの、エリザベート+フランツ+トートの「私だけに」三角関係三重唱とかはうっとりしながら観ている。「闇が広がる」を聴くと、「闇、広がったなあ」としみじみする。

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エリザベートプラスうちわ&キラキラキーホルダー

ちなみに私が観劇した回がイープラスの貸切公演で、イープラスとエリザベートのコラボレーション「エリザベートプラス」のうちわを配っていた。カーテンコールには、愛希さんと芳雄さんが「エリザベートプラス」のうちわを持って登場した。愛希さんは、1幕の終わりの扇を掲げるポーズ、このうちわでやろうかと思いました、とおっしゃっていた。お茶目でかわいい。初めて愛希さんを生で拝見しましたが「ちゃぴちゃん」と言うあだ名がぴったりだなと思いました。

2020年、初演以来20周年のアニバーサリーイヤーにも、また「エリザベート」を観劇したい。生身のエリザベートに、トートに会いたい。今から徳を積まなくては。