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タイBLドラマ「A Tale of Thousand Stars(千星物語)」 - 2021年に出会えてよかった作品を振り返る

Earth-Mix主演のタイBLドラマ「A Tale of Thousand Stars(นิทานพันดาว / 千星物語 / 1000stars)」は、2021年に見たドラマの中で、ものすごく好きな作品の1つです。ちょうど2021年の1月末から放送スタートしたはずなのでもうすぐ1年経つんですね、早い。毎週ワクワクしながら見ていたのを思い出します。

最初は山岳エリアのほのぼのしたBLストーリーなのかな、ぐらいの認識で見始めたのですが、映画を見ているようなスケール感や、自分の空虚さに向き合って人の役に立ちたいと奮闘する主人公Tianの成長ぶり、様々なトラブルが起こっていく中でTianとPhupha隊長が絆を深めていく様子が丁寧に描かれており、またコミカルとシリアスのバランス感も絶妙でどんどん引き込まれていきました。

爆笑したかと思えばあまりの不穏な展開に「ええ……?」と不安になったり、悲しかったり切なかったり。かと思えばPhuphaのTianへのアプローチがあまりに大胆で違う意味で「ええ……??」となったり、情緒にあらゆる揺さぶりをかけてくるドラマだと思います。感情が忙しい。

放送後何回か見返していますが見返すたびに面白いな〜、と思える素敵な作品。2021年、「A Tale of Thousand Stars」に出会えて良かったです。色々なことへの興味を喚起してくれたし、背中も押してくれた作品だし、Earth-Mixのことも大好きです。いったん自分の感想と作品概要をここにまとめておきたいと思います。

(超余談ですが、2021年内に「A Tale of Thousand Stars」の感想ブログを書く!書いたらDVDを買う!と自分の中で心に決めていました。ですが割とあっという間に年末になり、大晦日ギリギリになってしまった……。間に合わせることができたので、これで心置きなくDVDを買えます)

※ネタバレになっている部分もあると思います、お気をつけください※

 

「A Tale of Thousand Stars」あらすじ

youtu.be

Tianは、裕福な家庭に育ち、不自由なことなど一つもない豊かな暮らしを送る大学生。いつものように友人たちと夜遊びに興じていたところ、持病の慢性心筋炎による発作で倒れ生死の境を彷徨うことになってしまう。しかし、Tianはちょうど見つかったドナーから心臓を移植することによって一命を取り留める。

自分に心臓を提供してくれたドナーが誰なのかを知りたいと考えたTianは、調べていくうちにある1人の女性が心臓のドナーだったと知る。彼女の名はTorfun。Tianが倒れたその日に事故で命を落としたのがTorfunだった。

Torfunの命と引き換えに自分が助かったことを知ったTianは、Torfunの遺品である日記帳を入手する。新たな命を手にしたことで“自分も人の役に立ちたい”と考えたTianは、その日記帳を頼りにしてTorfunの足取りを辿り、彼女が生前ボランティア教師として勤務していたパパンダオ村に、同じくボランティア教師として赴くことに。

パパンダオ村で待ち受けていたのは、電気の通っていない大自然に囲まれた環境と自由奔放な子供たち。そしていつも無愛想で第一声からTianに皮肉をふっかけつつも、実は何かとTianの世話を焼いてくれる(?)森林警備隊隊長・Phuphaだった。

「A Tale of Thousand Stars」主な登場人物&キャスト

 
 
 
 
 
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Tian(演:Mix)
Tianは「A Tale of Thousand Stars」の主人公。官僚の息子で裕福な家に育った大学生。心臓に持病があり発作で一時は死に直面するものの、事故死したTorfunの心臓を移植する事で一命を取り留める。Torfunの意志を引き継ごうとパパンダオ村に向かい、ボランティア教師として教壇に立つ。使用人なしで生活したことのない超おぼっちゃまのため、村で暮らし始めた当初は文字通り1人では何もできず、蚊帳を張って寝床を整えたりお湯を沸かしたりすることすらままならなかった。しかし、周り(主にPhupha)からの支えもありつつ、徐々に順応していく。

短気でケンカっ早いところがあり、Phuphaとよく「ああ言えばこう言う」的口ゲンカをしている。また、胆が据わっている一面も持っており、子供への授業にぶっつけで挑んだり、危険な場面や場所にも臆することなく突っ込んでいったりする。そのためトラブルにも巻き込まれやすいが、事あるごとにPhuphaが助言や手助けをしている。

 
 
 
 
 
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Phupha(演:Earth)

Phuphaはパパンダオ村を含むエリアを管轄する森林警備隊の隊長。普段はあまり表情を表に出さず、いかにも隊長らしく厳格に行動しているが、根は優しく面倒見がいい。Tianのことは赴任時より何かと気にかけており、村での生活や学校での指導について、アドバイスしたり教えてあげたりしている。

また、Tianに対しては突っかかってみたり、はたまたからかったり、大胆なアプローチをとってみせたりする一面もあり、クールなふりして実は……な人(だと思う)。Torfunのことは妹のように思っており、Torfunの事故死に際しては「轢いた奴を許さない」と怒りを露わにしていた。

 
 
 
 
 
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Torfun(演:Aye)

パパンダオ村に派遣されていたボランティア教師。すぐに音を上げて村を去ってしまう教師が多いのに比べ、Torfunは長い期間教師としてパパンダオに滞在し、子供たちはもちろん村に住む人々からも家族のように慕われていた。しかし、パパンダオ村から自宅へ帰省する途中で事故死してしまう。Phuphaに対して密かに想いを寄せていた。

 
 
 
 
 
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Dr.Nam(演:Nammon)

Dr.Namはパパンダオ村の医師。Phuphaの親友。気さくな性格で温厚だが、常に冷静に事態を把握し対応することができる。Phuphaが焦っている時や頭に血が上っている時には客観的な意見をもってなだめたり説得したりし、PhuphaがなかなかTianに対して素直になれない時にはからかいながらも背中をそっと押す。

 

 
 
 
 
 
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Longtae(演:Khaotung)

Longtaeは、パパンダオ村の村長Khamaの息子。大学生でTianとも歳が近く、Tianとすぐに仲良くなる。Tianの行動に振り回されつつも、自分の意見をちゃんとTianに伝えたり、Tianの話に耳を傾けたりする誠実さを持っている。

 
 
 
 
 
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Yod(演:Champ)

Yodは森林警備隊の1人。初日にTianを迎えに来たり、Phupha隊長が忙しい時にTianの世話をしたりしてくれる。割とお調子者で、いつもは上長であるPhupha隊長に対して敬意を表しているが、飲んでいる時や隊長がどことなくそわついている時には積極的に冷やかしている。

Rang(演:Drake)

RangはYodと同じく森林警備隊の1人。フランクな性格で人懐っこい。YodやDr.Namと一緒になって、TianのことでソワソワやきもきしているPhupha隊長のことを楽しそうにからかっている。

Tul(演:White)

TulはTianの友人。Tianと一緒になってギャンブルや夜遊びに興じるなど、派手に遊んでいた。TianがTorfanの家を訪ねた際に車を出してくれたり、チェンマイまでTianに会いに来てくれたりと、友達思いな一面も。Tianの恋愛相談にも親身になって乗ってくれる。

「A Tale of Thousand Stars」のここが好き

自分の不甲斐なさに向き合うTian

自身が望んだことではないものの、Torfunの心臓を移植したことで命を落とさずに済んだTian。新しい命に対して、そしてTorfunの死に対して「どう向き合って行こうか?」と考え、行動に移したTianはすごいと思う。自炊もしたことないし子供を教えたことなんてまるでないにもかかわらず、とりあえずパパンダオ村に向かって行く意志の強さがある。

Tianが赴任した当初は子供を危ない目に遭わせてしまったり、授業がつまらないと言われたりと本当に心が折れそうになる失敗ばかりしているけれど、子供たちに喜んでもらおうとなんとか工夫したり、パパンダオ村の活性化や利益のために努力したり、徐々に自ら動いてプラスαの働きかけができるようになっていくところに心を打たれます。

自分の不甲斐なさに逃げずに向き合ったのがTianの偉いところ。“人のために”“自分に新たな命をくれたTorfunのために”と考えた時に、自分にできることを諦めずに突き進んでいくTianの姿勢は見習いたい。

ケンカップルなPhuphaTianが好き

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Cr. GMMTV / YouTube [Official Trailer] นิทานพันดาว 1000stars

初日からして既にTianに対してふっかけるPhuphaと、すかさず言い返すTianのケンカっぽいやりとりが見られますが、シリーズを通してPhuphaTianは何かとこちゃこちゃ言い合ってるイメージがあります。最初の方はPhupha隊長が優位に立って「ふふん!」ってしてるけど、Tianがそんな隊長の弱いところを突いて応戦するような感じ。年齢も離れているし、体格も性格も社会的立場も違うし、パワーバランスがでこぼこだけど何となく釣り合いが取れつつ、やいのやいの言い合いしてる2人が好きです。本編は結構ラブラブな感じで終わるのですが、きっとTianがパパンダオに戻ってPhupha隊長と再会した後も何かとケンカはしているんじゃないかな〜、と私は考えています。

シリーズ後半に差し掛かると、軽い言い合いではなく割とガチなシリアス喧嘩をPhuphaTianが繰り広げる場面があるのですが、ケンカしてるPhuphaTianが好きすぎて喜びながら見ていました。まさに売り言葉に買い言葉なケンカで、2人が言ってることにはちゃんと意味も理由もあるのですが、それぞれの感情も乗っかっている分とても深刻なケンカになっていて見応えがあります。思ってもないことを言っている時や、バチギレた時のPhupha隊長の血走った目が本当に大好き。

PhuphaTianモーメント&アドリブ

ほとんど毎回、本編の一番ラストにPhuphaTianモーメントな映像がついてくるのが楽しい。特に最終話は忘れられないですね……。最終話ラストのバックハグからの頬へのキスがアドリブ*1だと聞いた時はぶったまげましたが…??台本には「Phuphaがバックハグ→Tianの匂いを嗅ぐ」とだけ書かれていたそうで、Aof監督がEarthさんに「TianはもうPhuphaの恋人だから、Phuphaの気持ちのままに、したいようにやってみて」と指示したところ、Phuphaさんの感情に付き従う形で、Earthさんのアドリブにより頬へキスしたとのこと。ありがたい……(?)当然Mixくんもキスされると思っていなかったため、びっくりしたし本当に照れたと語っていて、あのTianの反応はリアルなリアクションだったんだな〜と知って気絶しそうになりました。色々な要素てんこ盛りのPhuphaTianモーメントになっています。

そして最終話の空港のシーンで、Tianを見送るPhuphaがTianの額にキスするところもEarthさんのアドリブ*2。“旅立つTianに対して何か愛情表現を示すなら?”と考えたEarthさんのアイディアだったとのことで、後ろにひっくり返りました。空港のシーン、最初にみた時は「まあPhupha隊長来たけどご両親が見てる前でキスはしないだろうな〜」と思いながら気楽に構えていたので、Phupha隊長がおでこキスした時は目ん玉飛び出そうになりました。あと、Tianくんが家族に対してするハグと、親友のTulに対するハグ、そしてPhupha隊長にしたハグがそれぞれ全然違う形になっていたのもすごく印象に残っている。

あと、崖のキスシーンも撮影現場で決定した演出*3だと知って「ウワ〜〜〜〜〜〜」となっていました。感情ののせ方と背景の景色の綺麗さとタイミングと、全てが完璧にピタっとはまった形のクライマックスになっているので、監督の判断が超適切……すごい……。

そう考えると、キスシーンに限らず「A Tale of Thousand Stars」の色々な場面が印象的かつエモーショナルに映るのは、登場人物たちのリアルな感情の動きをその都度反映する形で作られているからなのかも。アドリブとか、その場で足されていった演出ってこの他にもたくさんあるんだろうな。

森や崖の景色がきれい

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Cr. GMMTV / YouTube [Official Trailer] นิทานพันดาว 1000stars

「A Tale of Thousand Stars」の画面に飛び込んでくる景色のきれいさには、思わず目を奪われてしまう。森や茶畑は緑がキラキラしていて、パパンダオの崖は空がものすごくきれいに見えます。毎週「A Tale of Thousand Stars」を見ているだけでパパンダオ村にトリップしているような没入感があったのだけど、それはこの自然の美しさに起因するところが大きいと思う。まさに自然に身を委ねるような感じのする、みずみずしい風景に癒されてました。

 

見る側としては「緑がきれいだな〜」なんだけど、Behind the scenesを見ていると、大自然のロケーションの中での撮影がいかに大変だったかがわかる。

まず山道を歩いて機材を持ち歩くだけで一苦労だし、電気の確保も大変、天候にも大きく左右される。整備されていない地面は雨が降った後はぬかるんで、Mixくんが履いていたサンダルのソールにべったりと泥が付いている様子もビハインドに映っていました。

あと、気温の低さとキャスト・スタッフ陣が奮闘している様子も印象的だった。タイは一年を通して温暖なイメージだったけど、山岳部は結構気温が下がるみたい。Torfun役のAyeちゃんが待機中に何枚もアウターを重ね着して暖をとっていたり、TianやPhuphaが滝に入るシーンでは水のあまりの冷たさにMixくんもEarthさんも震え上がったりしていた。

あとPhupha隊長が体を洗う場面では、体に浴びるためのお湯を用意してもらっていたけどそれでも水が冷たくて最初身体が硬直してしまったし、そんな中でもセクシーな表情で水浴びをしなければならなくて大変だった、とEarthさんが語っていた*4

また、Tianが星を数える場面の撮影時に、寒さと緊張がピークに達したあまりMixくんが倒れてしまう様子もビハインドに残されていて、「作品を成功させたい」というキャスト・スタッフの気概やプレッシャーと自然の過酷さを同時に感じ取ることができる。見ていると緊張感やひんやりした空気が画面のこちら側にまで伝わってくるようで、これは乗り切ったキャストもスタッフもすごい……と思いました。

※ちなみにビハインド、本編視聴後に見ると撮影期間の凝縮されっぷりを感じられて楽しいし、より作品のことがわかるので通して見るのがおすすめです。GMMTVが再生リストを作ってくれている。

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飲み会の場面が好き

度々登場する飲み会のシーンがもれなく好きです。序盤、Tianがパリピ大学生っぷりを披露するギャンブル飲みのシーンも好きだし(特にお札をびらびらしてショット飲んでるTianがウェイ感あって好き)、EP.3 4/4のTianくん歓迎会の宴のシーンも好き。TianとPhuphaが2人並んでカラオケを歌ってるシーン、めちゃめちゃエモーショナルで最高じゃないですか?曲もいいし*5。あと酔っぱらったみんなのコールでTianが一気飲みしてるのを心配そうに見つめるPhupha隊長の優しいまなざしを見て………。EP.3、飲み始めてからぐでんぐでんに酔ったTianが介抱されるまで通しで描かれているのが本当に良い。

EP.5ではTianが親友のTulと、そしてPhuphaがDr.NamやYod、Rangといったおなじみのメンバーと飲んでいる様子を切り替えて、それぞれの会話をスイッチングしながらTian、Phuphaの気持ちにフォーカスしている場面がとてつもなく好きです。Tianが「男が好きって言ったらお前はどう思う?」とTulに聞いた時の、「好みの問題だろう、俺は驚かない」というTulのこざっぱりした返事もよかったし、恋に落ちたてのTianのうだうだ感もよかった。あと、パパンダオチームのPhuphaを除く3人の酔っ払い加減もめちゃめちゃ好きでした。くだを巻くDr.Nam、酔っ払ってハイになってるYodとRangがみんなでPhupha隊長を冷やかしているのが最高。ちなみにEP.7にも森林警備隊+Dr.Namの飲み会シーンが出てきます。

私はDr.Namが好き

「A Tale of Thousand Stars」の登場人物の中ではPhupha隊長の親友・Dr.Namが一番好きです。登場しただけで「えへへ…」となるぐらいに好き。めちゃめちゃ好き。

 

 

Dr.Namは森林警備隊の基地で軍医として働く医者で、Phupha隊長に取っては気のおけない友人。Phuphaさん、自分が言うべきこととそうでないことの線引きがかなり厳格なキャラだと思うけど、Dr.Namにはふと本音や気になってることをぽろっと言ってしまう。Tianくんも何かとDr.Namに相談に乗ってもらったりお世話になったりしている。

Dr.Namの魅力は、この”ふと相談したくなる感じ”。でも、「THE・人情派」みたいな感じではなくて、軽やかな感じでポップなのがまた良い。Dr.Namが「へ〜、そ〜なんだ〜マジで〜」って言ってる間にいつの間にか大事な話2、3個したくなるし、話し方は軽妙だけど親身になってくれて何かと良いことを言ってくれる人。こんなお医者さんいたら一生お世話になりたい。

Behind the scenesの中でDr.Namを演じたNammonくんが「Dr.Namは成熟した人だから、(演じるにあたって)自分をアップグレードさせる必要があった」*6と語っていたけど、Dr.Namの周りの事をすごく見ていて、ケアすべきところに的確にパスを回せる感じを見ていると、本当に成熟した人だと思う。そしてNammonくんの演技めちゃめちゃ良かったと思う。「SOTUS S」のNaiも「Who are you」のおちゃらけ高校生役もよかったけどDr.Namはハマり役だったんじゃないかな〜〜!

Dr.Namはなかなか素直になれない隊長とTianの間に入って何かと仲を取り持つんですけど、それでいて決して踏み込みすぎない、一歩引いた姿勢でいるところが素晴らしい。

例えば、Dr.NamとPhuphaさんの仲の良さから、Tianが「2人は恋仲なのでは…?」と勘ぐってDr.Namにさりげなく探りを入れようとした場面では、Tianの言わんとする事を瞬時に察して「まあ、よく言われるけど…俺恋人いるもーん☆見て見て!可愛いでしょ??」と、Tianに1mmも気を遣わせない回答をしている(素敵)。TianのPhuphaへの好意にDr.Namは気付いたけど、そこには踏み込まずにさらりと対応していて、そこも素敵。

一方で、Phuphaがなかなか素直にTianへの好意を認めないのを見て、「お前たち(PhuphaとTian)、そっくりだ。口に出さないけど」ってDr.Namが言った時、「ほんっっとにそれな!!!」となりました。Dr.Namは視聴者が言いたいことを全部言ってくれる……。

Phuphaさんが「Tianが…」って言った瞬間にもうDr.Namの頭の中では出す処方箋のパターンいくつか用意されてるんだと思うんですよ。彼の言動・行動全てが良い塩梅すぎて「こんなにバランス取れてる人、他にいる?」となる。Dr.Namと飲み友達になりたすぎてもはやPhuphaさんうらやましい。

直接的には描かれていないけど、Phuphaさんが空港にTianを見送りに行けたのだってDr.NamがTianに電話番号聞いてたおかげじゃん。Dr.Namが電話番号聞くまでは誰もTianのSNSとか電話番号とか知らなかったわけだし。つまりDr.Namがいなかったら最終話のあのPhuphaさん&Tianの空港見送りは実現してなかったんですよ!え、Dr.Nam超重役じゃん……?好き……。

Dr.NamがPhupha隊長にTianの電話番号教えるくだり見たかったな。Dr.NamとPhuphaの友情スピンオフみたいなエピソードほしいな……。でも、そうやってさりげなく事を進める影の立役者的な立ち位置にいるところも好き……。

Dr.Namは、客観的に見れば間違いなくキューピッド的役割を果たしているのですが、あくまで当人たちの気持ちに寄り添いつつ、気持ちの流れがいい方向に向くようにそれとなくさりげなく促してあげるような感じがあります。レールを敷くんじゃなくて自分たちでレールを敷けるように地面を整えてあげる感じですかね?めちゃめちゃスマート……。物事を俯瞰で見られる人じゃないと地面整えられないでしょ、Dr.Namさすがすぎる大好き。

それでいてPhuphaさんがなんかソワソワしてるとすぐに冷やかしていじり倒す感じがもう本当に良い。いい香りのシャワージェル使って新しいシャツを着てきたPhupha隊長が、明らかにTianとのデートの準備万全なのをRangやYodからからかわれてムッとしてる時に、Dr.Namがニヤニヤしながら「(隊長は怒ってるんじゃなく)照れてるんだよ」ってダメ押しするところ、何回見ても爆笑してしまう。

タイ北部・山岳エリアの暮らし

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Cr. GMMTV / YouTube [Eng Sub] นิทานพันดาว 1000stars | EP.2 [2/4]

高床式の家や、豚の脳みそを使った料理「エブオンオー(แอ๊บอ่องออ)」をはじめとする北部の料理、結婚式の場面で登場する頭に鈴の装飾をつけた民族衣装など、タイ北部の山岳地域の暮らしを垣間見れるのも面白かった。また、子供が学校に行かずに家の労働を手伝っている場面や、茶葉の売買にあたって搾取の構造が常態化していた場面などはハッとした部分でもあった。

Tianの暮らす高床式の家は撮影のために作られた家*7とのことで「すごいな〜」と思っていたのですが、セットに限らず住宅用の高床式の家も割と短期間の工事で作られるようです。

タイ北部の風習や少数民族について知りたくて読んだ、やまもとくみこさんの著書『ムがいっぱい―タイ少数民族カレンの村で 』では、カレン族が暮らす北部の村でフィールドワークを行うにあたり、滞在するための高床式の家をやはり突貫工事で建てた、という記述があってびっくりした。また、乾き切った竹材を使って建てないと雨季に虫がついたり腐敗したりするし、ダメになってしまった部分はそこのパーツのみ取り換えれば容易に修繕可能とも書いてあって「なるほど」と思いました。

『ムがいっぱい―タイ少数民族カレンの村で 』は1990年の本ですが、フィールドワークに赴いた際に感じたことや見た景色などがブログのように綴られていて読みやすく、カレン族の人々の暮らしを知ることもできて面白かった。

www.kinokuniya.co.jp

「A Tale of Thousand Stars」は原作ではアカ族の暮らす村、という設定になっていたので少し風習は異なると思いますが、読んでみると「A Tale of Thousand Stars」で見た光景とリンクする部分もあって興味深かったです。

うろ覚えなのですが、都市から村に派遣されてきた駐在の医師が“腰掛け”でやる気に乏しく、長期間にわたって任務が続かない、といったような記述もあり、人口の少ない地方から見る“都市から来る人”への視点も垣間見えた。ただ、書かれているのはもう30年ほど前のことなので、そこから何かしら変化はあるのだと思います。せっかく「A Tale of Thousand Stars」を見て興味を持ったので、現代の実際のタイ北部の暮らしについても調べていきたい。

精霊信仰や民間伝承

Phupha隊長がTianに「夜は幽霊が出る」と言ったり、滝で溺れたガーレーに対して「聖水を三日間かけて呪文を唱えれば悪霊をはらうことができる」と呪術師が言う場面があるなど、精霊信仰がパパンダオ村の人々の生活に浸透していることがうかがえる。Tianは全く信じてなさそうだったけど、LongtaeもTianからパパンダオの崖に連れて行って、と言われた時に「あの辺りは幽霊がいて取り憑かれる」という話をしており、パパンダオの人々の暮らしの中に、霊が当たり前の存在として受け入れられているのが新鮮だった。

また、「A Tale of Thousand Stars」のストーリーのキーにもなっている“大晦日の夜に崖で1000個の星を数えると願い事が叶う”というパパンダオの崖の伝説や、結婚式前夜の“犬の遠吠え”の習慣など、土地に伝承されてきた風習や言い伝えが散りばめられている。「A Tale of Thousand Stars」はフィクションだけど、きっとタイの各地域に伝わる様々な伝承があるはずで、実際はどんな言い伝えがあるんだろう、と気になった。

精霊信仰に関しては、津村文彦さんの『東北タイにおける精霊と呪術師の人類学』という本が気になっていて、物語に登場する精霊の描かれ方や、信仰のあり方、社会の中で精霊がどのように受容されているのかについて書かれているようです。めちゃめちゃ気になっているのですが読む時間がとれておらずまだチェックできていません。積ん読がある程度解消できたらトライしたい。

 

「A Tale of Thousand Stars」視聴方法・配信場所

YouTube(英語字幕あり、日本語字幕なし)*8

youtu.be

・TELASA(日本語字幕あり)

www.telasa.jp

楽天TV(日本語字幕あり) 2022/2/1〜

 

衛星劇場(日本語字幕あり)

www.eigeki.com

「A Tale of Thousand Stars」原作小説

「A Tale of Thousand Stars」原作小説の翻訳版も出ています。小説も面白かった。翻訳時のPhuphaさんの一人称が「私」になっているのを見て、たしかに隊長として喋る時は日本語で言うと「僕」よりは「私」かもしれないな……、と納得した。テラサの字幕では「僕」になってた。

ドラマのPhuphaさんは、Tianと話す時や公の場で話す時は“ผม(=私 or 僕)”、Dr.Namと喋る時は“กู(=俺)”を使っていて、やっぱりD.NamとPhuphaさん仲良いんだな〜と思いました。小説版のDr.Namの切れ者感も好きです。ちなみにTianは親友のTulと喋る時に“กู”、あとは基本的に“ผม”を使っている。

『A Tale of Thousand Stars』著者:Bacteria・翻訳:イーブン美奈子

A Tale of Thousand Stars 上税込1,760(2021/12/31時点)

A Tale of Thousand Stars 下税込1,760(2021/12/31時点)

 

 

 

 

 

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*1:[ENG SUB] EarthMix - Counting Stars Party (55:45〜頃)より URL:https://youtu.be/0KgNS0WgEuo

*2:[ENG SUB] EarthMix - Counting Stars Party (48:50〜 / 58:25〜頃)より URL:https://youtu.be/0KgNS0WgEuo

*3:[ENG SUB] EarthMix - Counting Stars Party(50:00〜頃) より URL:https://youtu.be/0KgNS0WgEuo

*4:[ENG SUB] Behind The Scenes “นับหนึ่งถึงพันดาว” | นิทานพันดาว 1000stars より URL:https://youtu.be/FNWMAABTKt8

*5:แก้มน้องนางนั้นเเดงกว่าใคร - เขียนไขและวานิช(Official)

URL:https://youtu.be/ykRGStsDNgQ

*6:[ENG SUB] Behind The Scenes “นับหนึ่งถึงพันดาว” | นิทานพันดาว 1000stars より URL:https://youtu.be/FNWMAABTKt8

*7:[Eng Sub] Behind The Scenes กว่าจะมาเป็น บ้านพักครูอาสา | นิทานพันดาว 1000stars より URL:https://youtu.be/a7sNeX0bTPQ

*8:1000stars JapanFC様が字幕を作成してくださっています。【随時更新】#千星物語 字幕まとめ - パパンダオ天文台からのお知らせ