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「逃げるは恥だが役に立つ」かわいいは最強だし妄想も役に立つ

お題「気になる番組」

今さらながら「逃げ恥」こと『逃げるは恥だが役に立つ』にはまった。テレビで放送されていたのは2016年らしい。恋ダンスが流行ったの、4年前なの……(呆然)。

 

恋ダンスが流行していた当時、なんか流行ってるな〜程度の認識でほぼほぼスルーしていた私(恋ダンス、みんな踊っているという割に難しそうでは、と思っていた)。最近テレビでやっていた「ムズキュン!特別編」再放送をイッキ見したらハマってしまった。面白いしガッキーも星野源石田ゆり子もかわいい。登場人物みんなチャーミングで出演者のこともみんな好きになりそう。ドラマもいいけど漫画もいい、全巻あっという間に読んだ。

きっと、嫌というほど日常に向き合わなければいけなくて、気晴らしにパーっと何かをする(劇場やライブなどで非日常的体験をしに行く、飲みに行く、色んな店を流してショッピングする、などなど)ことが制限されている最中だからこそ、日常の面白さに向き合う物語が自分にしっくりきたのかな、と思う。 

好きなのは、「誰かから必要とされたい」という願いを叶えていくためのプロセスが描かれている点と、「契約結婚」を含め様々な関係性・生き方の可能性を描いている点、「かわいいは最強」だという点です。あと、普通の日常の中でワクワクする手段としての妄想も好きです。

・誰かから必要とされるには

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就職活動に失敗し、定職に就けなかったみくりと、35年間恋愛経験がなく“プロの独身”を自負する平匡。「逃げ恥」をスーパー端的に言うと、お互いの「誰かから必要とされたい」と願う2つのベクトルが、「契約結婚」を機に徐々に噛み合っていく物語です。最初のうちは、みくりは就職と収入、平匡は合理的に生活を進める手段(みくりに家事を代行してもらう)として「契約結婚」を決めますが、一緒に生活をしていくうちに、その関わり合いの中で、どのように相手を承認し、尊重していくのか?ということが課題になっていきます。

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印象的なのは、お互いが何を必要とし、自分が何を必要とされているのかの確認と、現状の労働・生活スタイルがサステナブルかつ良いものなのかどうか?と言うことを逐一みくりと平匡の2人で話し合っていること。きちんとした話し合いの場を設けて自分の意見を忌憚無く言い合う、ということの大事さが描かれています。

1対1のコミュニケーションはもちろんのこと、対会社、対友人、対家族など、ちゃんと話をしていくことの大事さを改めて実感する。自分を振り返ると、ついつい見栄を張ったり我慢したり、小さな嘘をついたり、ということを本当に無意識のうちに繰り返していて、ちゃんと自分の意見を言わないことって結局はあまり良い結果にならないよな、と反省しました。誰かから必要とされるためには、自分の求めるものを明確に発していく必要があるのだと思った。

こうして言葉にすると当たり前のことのようだけど、例えば「(あ〜〜、この店!(おいしいのはわかるけどちょっと、いや結構高いな〜〜〜、でも席座っちゃったしな〜〜〜)いいお店だね!おいしそう!」みたいな感じのことを結構積み重ねてしまっており、その時は水に流そうとしても、後々積み重なっていった時にかなりの確率でストレス要因の1つとして思い出される、ということがあり…私がネチネチした性格だというのもあるかもしれませんが…もうネチネチもやもや思い悩まないで生きていきたいんや……。

また、「気持ちの素因数分解」という考え方も好きで、生きているといろんなことがぐちゃぐちゃと頭の中を占拠してきて考え方そのものもぐちゃぐちゃになっていくものだけど、今自分が一番求めていることって何?を定期的に考えて言語化し、優先的に考えていくともう少しすっきり生きていくことができるかも…と思ったのでした。それは自分のストレスと向き合うことでもあり、そのストレスを解消しつつ、相手を尊重するには?と考えるための第一歩でもある。

・様々な関係性・生き方

主人公のみくりと平匡は最初こそ契約結婚という体で事実婚関係になりますが、徐々にスキンシップ有りの擬似恋人→ともに恋愛感情を持っている恋人同士→入籍、という段階を踏んでいきます。結果的には恋愛関係になるみくりと平匡ですが、雇用関係で繋がる夫婦、というスタート地点に、夫婦の関係性を繋ぐものが性愛じゃ無くても良くて、その他の可能性もあるよね、ということを提示してくれている。

また、みくりの叔母で、仕事一筋で生きてきた百合と、平匡の同僚であり、17歳年上の百合に好意を持つ風見の関係性、平匡の同僚でゲイの沼田、夫の浮気が原因で離婚したシングルマザーのやっさん、2人の子供を持つ平匡の同僚・日野と、人によって様々な形の人間関係を構築している様が描かれている。コミックス3巻では、みくりが大学時代の友達とご飯に行く場面が描かれているけど、大手損保に就職したけど辛くて辞めたい人や、会社を辞めてゲストハウスを運営する人などその進路も様々。

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そのそれぞれの生き方を否定したり強く拒絶したりする登場人物があまり出てこなくて、各々が「自分はこう思っている」を淡々とこなしていっているところもすっと読みやすいのかもしれない。

まあ、こういう人いるよね的な、ちょっと困った人みたいなキャラクターも登場することは登場するけど(みくりの兄で余計な一言が多いちがやとか、漫画で後半に登場するホモソどっぷりな灰原課長、インセルっぽい北見など)、その人がどういう考えや生き方を経て現在の人格になっているのか、というところまで描かれているので「嫌な人だなあ」という思いよりも「この人はこういう考えなのか」と腑に落ちる感覚がある。

(唯一、ドラマで出てきたみくりのKYな元カレはよく分からなくて苦手かもしれない……)

・「かわいい」は最強

「かっこいい」だとかっこよくない姿を見た時に幻滅してしまうことがあるけれど「かわいい」の前では平伏すしかない、だから「かわいい」は最強だ、というみくりの主張が出てくるのですが、これには同意です。思えば、恋愛上手な友人・知人を見ていると共通しているのは「人のいいところを見つけるのが上手」だということ。「あの人(恋人や配偶者など)はこういうところが可愛いんだよね」といった言葉も、あくまで私の肌感覚ですが会話の中でよく聞くような気がします。

私自身「あの人はああだけど、可愛いところがあるから憎めないよな」と思ったり、普段は特段何の感情も抱いていない人に対して「今の発言かわいい!」と思ったり。他にマイナスな要素があっても「かわいい」という事実は簡単に覆らないし、「かわいい」と思った時のふわっとした気持ちってささやかだけどハッピーだな、と思うのです。推しをはじめ、好きなアイドルに対しても「かっこいい」より「かわいい」と思うことの方が多いかな。「かわいい」は最強。

 ↑かわいい…………。一体感のあるかわいさ。

・ドラマで好きな回:みくりが実家に帰る回・ピクニック回

親とのエピソードが絡むとグッときてしまうのだな〜〜。特にみくりが平匡と気まずくなって実家に帰った時に、みくりがお母さんから「ずっといてもいいのよ」と言われる場面は何度見てもグッときてしまう。あと、結婚相手を努力によって“運命の人”に「する」という考え方も良かった。人と人との関わり合いには、多少なりとも歩み寄りとか思いやりが必要で、もっと言うとすげー面倒くさいし精神的労力を要することをたくさんたくさんしながらそれでも相手を尊重することが大事だよね…と思った。

ピクニック回では、みくりの叔母・百合に親密さを見せて安心させるために、百合から見える位置でみくり・平匡の2人がピクニックを試みます。その途中で平匡が母の誕生日だったことを思い出し、平匡母に電話をかけるのですが、子供の時に平匡は嫌な家族の思い出としてインプットしていたピクニックの出来事が父・母にとっては実は微笑ましい思い出として記憶されていたことを知ります。

具体的には、平匡母が瓦そばをピクニックの弁当に入れ、サプライズを目論んでいたものの、平匡父は「伸びきった瓦そばを食べたくない」と主張し、残ってしまった瓦そば弁当を無理して平匡が詰め込んだ、という出来事です。ただ、この瓦そば事件には続きがあり、平匡が疲れて寝てしまったその日の帰りに、平匡父が美味しい瓦そばのお店に家族を連れて行ってくれていました。平匡は寝ていたから覚えていなかったけど、平匡母にとっては嬉しかった出来事だった。

 

 私はこのエピソードがすごく好きで、なぜかというと家族で経験、共有した思い出や出来事が、親から見た視点と子供から見た視点で異なっているということを描いているから。自分の記憶だけが確かではないし、周りの人の記憶が確かなわけでもない。さらに、同じ出来事に対面した時の心情は、必ずしも同じではない。ここで描かれているのは、個人の気持ちや視点は個人のもの、ということです。

しかも平匡は、偶然的にではありますが親との対話によってこの記憶の食い違いを確認しています。この対話→確認のプロセスこそが気持ちの共有であり、人と人とのコミュニケーションにおいて大事なことだと思った。

・日常を楽しく生きる妄想

妄想は大事。ドラマにしばしば登場する「情熱大陸」の妄想は日常的にしやすいのでおすすめです。通勤で会社に向かって歩いてる時や、仕事で外出先に向かう際に頭の中で葉加瀬太郎のバイオリンを流すだけでセルフ情熱大陸のできあがり。あと最終回の「パジェロ(東京フレンドパーク)」、「徹子の部屋」、「なんでも鑑定団」なども日常に当てはめやすい。妄想は逃避でもありますが、自分と距離を置いて客観視するための1つの手段として使えるな…とみくりを見て思いました。

 

最後に、タイトルになっている「逃げるは恥だが役に立つ」ということわざも良いですね。後ろ向きな理由で逃げたって、生き抜くことの方が大事だ、という意味。100%ポジティブなわけではないけど、私が生きていくには100%ポジティブはしんどいというか無理なので、このくらいの後ろ向きエッセンスが入っていた方が気が楽です。生き抜かなくては。