文を書く in TOKYO

ファッションとエンターテインメントについてふわふわ語る

夏の能動的娯楽の記録パート1:「エリザベート」観劇

今年の夏は「エリザベート」の夏だった!!!

6、7、8月と3ヶ月にわたって上演していたと言うのに、あまりのチケット激戦で、1回しか見に行けなかった私……甘さを痛感しました。みんなどうやってチケット取ったのよ。

f:id:kyanakoforyou:20190916122244j:image

何回もイープラス・ぴあ・ローチケをにらめっこしては当日券の電話をかけ、東宝ナビザーブの補助席にももれなく申し込んだのに惨敗してしまった……。大千穐楽の時に、2020年公演が発表されたのだけど、各都市1ヶ月ずつ公演するとのことで、それはそれで激戦の予感!絶対チケットを取ろう、チケットを取る。今から気が気じゃない(早い)。

「Endless SHOCK」の他にチケットとるのに神経使う舞台が増えてしまって嬉しいやら何やら。 


『Elisabeth』 2019 JAPAN TOUR

 

ハプスブルク家に嫁ぎ、皇后となったエリザベートは、結婚と引き換えに自由を失ってしまう。加えて、少女のときに木から落下し一命をとりとめて以来、まとわりつく死の影。それは闇の帝王からの求愛であった。滅亡へと向かっていくハプスブルク家と、自由を求めるエリザベート。そして、闇の帝王の愛の行方は……?!

 

あーーードラマチックだーー!かいつまんでもこんなにドラマチック。さらに、皇帝と結婚したばかりに、宮廷の制約や、姑からのいけずに押し潰されそうになりつつも、自分を保って生きていこうとする強さには、時代や境遇は違えど共感する。私も社会に出たときに、自由がない、と思ったよ。「なぜ、これをしてはいけないの?」に答えてくれる人も、明確な答えも存在しないのに、そのままに従わなくてはいけない不自由な世界。「エリザベート」を観ていると、自由に生きたいよね、やっぱりそれがいいよね、と言うことに自信を持てる気がする。

 


『エリザベート』2019年8月25日(日)夜の部カーテンコール映像

 

私が見に行ったのは井上芳雄さんがトート、愛希れいかさんがエリザベートの回。フランツは田代万里生さん、ルキーニは成河さん、ゾフィー涼風真世さん、ルドルフは京本大我くんと、もっとも観たかったメンツを見れたのはよかった。京本大我くん、繊細な美しさと歌のうまさに驚いた。まあ欲を言えば、お花様(花總まりさん)シシィも観たかったのだけど。ずっと憧れというか、井上トート×お花様シシィのDVDを観続けてたから、生身の彼らも観てみたかった。

f:id:kyanakoforyou:20190916125007j:image

堂本光一×井上芳雄、ジャニーズ界とミュージカル界のプリンスがともに主演した「ナイツテイル」からはや1年。光一さんも変わらず大好きですが、芳雄さんのことも「ナイツテイル」以降大好きになってしまって、生まれてこのかた何回目だって感じですが沼落ちしました。

芳雄さんのいいところは、私が言うまでもないんですけど足が長くてハンサムで歌が超うまくてハンサムで足が長くて歌が超うまくて足が長くて歌が超うまいところですね。芳雄さんの歌はうまいっていうか、その、うまいみたいな上から目線の言葉じゃなくて「伝わる!」ものすごく伝わる歌で浸透圧がすごいのです!直!耳で聞いているというよりも直で入ってくるような感じがする。「この感覚はなんだ?!また聞かなくては!」という気にさせるよね。

「ナイツテイル」見たときのこと思い出したけど、本気でステージに王子が二人いる!と思ったもんな…高貴な二人……。高貴でハンサムで身長差のある王子二人……!「はっ私って光一さんのファンじゃなかったっけ?言うても圧倒的アーサイト様派じゃなかったっけ?」みたいなかすかなモヤモヤから沼落ちするまでは、そんなに時間はかかりませんでした。

www.tbsradio.jp

芳雄さん、ラジオ「井上芳雄 by myself」がとても良い感じです。毎週生歌を聴ける(収録の時もある)!というのと、まあまあゆるゆるな感じ。米津玄師の「Lemon」歌った回はちょっと忘れられないわ。多分、クリスマスイブ?とかで、私はあまりうまく振る舞えなかった飲み会の帰りにラジオを聞いていて、「Lemon」が染み渡って電車のなかで泣いた。

大貫祐一郎さんのピアノの感じも好きだったし、息子がこの曲好きなんですよねー、と話しながら歌う芳雄さん。よかったな。後日のテレビで、その時の歌はあんまし出来が良くなかったみたいに言ってたけど。私は良かったと思ったんだよね、独特の緊張感も含めて。

柚希礼音さんとデュエットした、スカーレット・ピンパーネルの「君はどこに」も良かったなー。あと、「ジェリクル・ソング」と、上白石萌音ちゃんと歌った「牢番の娘の嘆き」も。ちょっとだけ泣いてちょっとだけ死ぬ歌。

単純に、ミュージカルっていいな、歌っていいなと思わせてくれるところが芳雄さんのいいところだと思う。歌手の人って歌うのが当たり前、みたいにいつの間にかなっている、というか受け手としてはそう見えるところがあるけど、「あ、この人は、歌が好きで歌っていて、それでこんなに素敵なんだな」と思わせてくれるところ。それは上白石萌音ちゃんにも感じることで、歌が単なる手段になっていなくて、歌はその人だと思える、というのがとても良いと思います。2人が「ナイツ・テイル」以来の共演を見せる「組曲虐殺」も楽しみだなー。

 

前置きが前置きではなくなりつつありますが、2020年の公演が決まったので、2019年時点のエリザベートの好きなところを羅列しまーす!!!

エリザベートで好きなところ〜

f:id:kyanakoforyou:20190916122319j:image

不幸の始まりのトートの身振り&歌

まず思ったのは客席に閣下がァァァー!ということ。あの場面では舞台下の下手のところに佇んでいらっしゃるトート閣下。二階から見ていて、確実に目の前の席にいたら失神するか堪えきれずに絶叫するに違いない、どちらにしても周りの方に迷惑をかけるし命拾いした…と思った。そして動きの端正さと無機質さが、「あ、この人は異世界の人だ」と思わせる。儀式的な舞と確信に満ちた表情。スッと伸びる腕。切れ長の目。普段の優しそうな芳雄さんのお顔とは明らかに異なるギラついた表情。はあ、ギャップ萌え。観ている最中に、私は結局のところトート閣下と芳雄さんのどちらがより好きなんだろうか、とか余計なことを考えてしまった。

芳雄さんの節回しで好きなのは「めつぼう〜」「みなもと〜」のところ。撃ち抜くような力強さと、それでいて抑えた感じが怖い。あと「少しずつ教えよう」の噛みしめる感じも良いですね。そうなると、ほぼトートのパート全部ですね。勿論最後の高笑いも大好きです。劇場で見てると色んなところから色々な「はっはっはっは……!」っていう笑い声が聞こえて楽しいです。3D高笑い。

あと、幸せの絶頂であるはずのエリザベートの結婚式が、実は不幸の始まりだった……というドラマティックど真ん中な設定もたまらないです。トートはそのことを知ってたんだか知らなかったんだか。

というのも、おそらく「不幸の始まり」のトートとしては、“俺にはこの結婚がうまくいかないことなどわかっている”みたいな根拠のない確信というか、どうせ最後は俺のものにみたいな、変な自信は絶対持ってるんだけど、なんつーか、全てを知っているわけではないのかな、と。事の全てを知っているのはあくまでストーリーテラーのルキーニであって、エリザベートが木から落下した時に死なせずに命を許した、そして愛に目覚めた時点でトート自身の思惑にも狂いが生じ始めていたのではないかと思うのです。運命の大きな歯車の中に、ときの女王だけでなく闇の帝王も巻き込まれていた。運命っていうものの不確かさと劇的な感じが伝わってゾクゾクします。

あと、一幕最後の肖像画ドレスも大好きだけど、ウエディングドレスもかわいい。

f:id:kyanakoforyou:20190916123742j:imageクリアファイル&キャラクターメモ

体操室の全て

シシィが吊り輪でトレーニングしようと思ったら体調不良で倒れてしまう場面。これは、吊り輪が出てくるところから終わりまで全てが好きで好きで仕方がない。シシィが体操するときの衣装って、タイブラウス&コルセット&ジョッパーズパンツみたいなやつなんですけど、あれ高貴な体操服な感じがして素敵。で、トートが医者のドクトル・ゼーブルガーを装って登場するんだけど、その怪しげな空気感。じわじわ追い詰められるシシィ。「脈は?微熱が。青い顔色」って言いながらシシィのブラウスのタイをほどいたりコルセットを外したりしていくドクトル・ゼーブルガー(トート)。あーやーしーいー!!!

 

そして何と言っても、

シシィ「……命を絶ちます。」

トート「……それが良い。エリザベート!待っていた!!」

から始まる「今こそ!出かけよう、黄泉の国へ〜〜♪♪♪」

 

……ちょっとトート閣下いきなり浮かれすぎでは?!?着ていたコートとハットをバサッと脱ぎ捨てて、アラジンのホールニューワールドばりに二人の世界へと持っていこうとするトート様(このときの衣装はスケスケのブラウス)。

いやいやシシィは今夫の不貞発覚したばっかりやねん。しかも体調も悪いねん。確かに死にそうではあるけど本当に死にたいわけではないんやで。そら「待ってよ〜〜!」言うわ。ちょっとお待ちなさいよ。

でもそんなことはお構いなしのトート閣下。さっきまでシシィが横たわっていたベッドに勝ち誇った顔で足を伸ばしています(足が長すぎる)。このときのトートの周りにはキラキラオーラが見える、ウキウキキラキラオーラ。ちなみにトート様の登場ポーズ、この場面以外にも何かと足を伸ばしがちで、どんなに装置が斜めになっていても変わらず腰掛けて足をのばしている(芳雄さんは傾斜がきつくてたまに滑りそうになるとラジオで言っていた)。

全然笑える場面ではないのですが、ちょっと色々こんなことを考えて、フフフフ、ニヤっとしながら見てしまった。この場面の最後に、エリザベートにきっぱり「違う!」と言われるところまでしっかり好きです。凛としたエリザベートと、一瞬呆然としてから、フンってなるトート。しかも、このときはこんなにすぐ黄泉の国に連れていこうとしたくせに、後になって息子のルドルフを亡くしたシシィが「連れて行って!」と懇願してもその時は連れて行かないんだよね。どんだけツンデレなんだよ、トート様。

f:id:kyanakoforyou:20190916123813j:image

日比谷シャンテコラボ。チケットホルダー欲しくて頑張ったのでシャンテに詳しくなった。 

ゾフィーの死

これはトート閣下が、と言うよりも、ゾフィーの苦悩も垣間見られると言う点で良い場面。世継ぎに対して厳しく、冷酷に教育をしてきた皇太后ゾフィー自身も、宮廷の中で自由を制限されてきたはずだと言うことに気がつく。息子のフランツから見放されて、「優しさより厳しさを 心殺して努めたわ」って死に際に言い残していくなんて、本当に切ない。ゾフィーだって“母親”で、“母親”としての子育てを望むシシィに共感していた部分も本当はあったのではないか、我が子や孫をしつけている時も本当は辛かったのではないか、と思う。抑圧に耐え抜くために愛情を押し殺してきたゾフィーは、どこかで自由を求めるエリザベートが羨ましかったのだと思う。

 

本当はこの3つ以外にも好きな場面いっぱいある。ルキーニが皇室グッズを叩き売りながら歌う「キッチュ」はテンション上げ上げで拍手するし、フランツがエリザベートに愛の証として首飾りをかけてあげるところとか、1幕終わりの、エリザベート+フランツ+トートの「私だけに」三角関係三重唱とかはうっとりしながら観ている。「闇が広がる」を聴くと、「闇、広がったなあ」としみじみする。

f:id:kyanakoforyou:20190916123555j:image

エリザベートプラスうちわ&キラキラキーホルダー

ちなみに私が観劇した回がイープラスの貸切公演で、イープラスとエリザベートのコラボレーション「エリザベートプラス」のうちわを配っていた。カーテンコールには、愛希さんと芳雄さんが「エリザベートプラス」のうちわを持って登場した。愛希さんは、1幕の終わりの扇を掲げるポーズ、このうちわでやろうかと思いました、とおっしゃっていた。お茶目でかわいい。初めて愛希さんを生で拝見しましたが「ちゃぴちゃん」と言うあだ名がぴったりだなと思いました。

2020年、初演以来20周年のアニバーサリーイヤーにも、また「エリザベート」を観劇したい。生身のエリザベートに、トートに会いたい。今から徳を積まなくては。