文を書く in TOKYO

ファッションとエンターテインメントについてふわふわ語る

タイ沼に浸かって気づいたこと

タイ沼に浸かって1年が過ぎた。WOWOWで「2gether」を視聴してからこの1年間、BrightWinに始まり、KristSingto、EarthMix、PondPhuwinと、推しがどんどん増え、夢中になってタイの俳優達のSNSを追いかけたり、気になるドラマを一気見したりしてきました。加えて最近では、広告に付随した配信番組にも目を通すようになり、さらに忙しい日々を送っています。昔は海外の芸能人を好きになったらなかなか会えないから寂しいよな……と思ってたけど、タイ沼の怒涛の供給のおかげで全く寂しくないし充実しています。ありがたい。

GMMTVのバラエティや、所属俳優たちが出るライブ配信などを追っていると、私はタイ語がわからないけれど、言葉がわからなくてもこんなにタイのコンテンツを楽しむことができるものなのか!というのが新鮮な驚きでした。

最初は何を話しているのか全くわからないため、トークが主体となるライブ配信やインスタライブ等は敬遠していましたが、リアルタイムで投稿されるファンダムの反応や、スピーディーに翻訳を上げてくださる方々のおかげでなんとなくのトーク内容を掴むコツを得てからは、生配信番組についてもチェックするようになりました。

 

ただ、コツを得たとはいえ、「タイ語がわからない」というのはタイのコンテンツを追うにあたってやはりネックだなと一周回って今思います。語学の勉強があまりに果てしないので目を瞑っていた部分だけど、少しずつでもタイ語の勉強をした方がいい、と思うようになってきた。自分で一次情報にあたれない、情報のソースをなかなか拾うことができないのがストレスフルだと感じるからです。

例えば「◯◯◯がこのインタビューで/番組内で〜〜だと発言した」旨の英訳・和訳ツイートをありがたく頼りにしながら俳優や作品に関する情報を得ているけれど、誰かが翻訳した時点で発言のニュアンスは多かれ少なかれ絶対に変わる。間に入る訳が多くなればなるほど実際のニュアンスとは徐々に離れていくものだと思うから、“訳が間に入っている”そして“この情報が伝聞によるもの”だという認識は常に持っておかないといけないと思っています。

でも、タイ沼の情報量の多さとスピーディーさから、どんどん追っていかないと「え、そんなこともあったの?」と置いてけぼりになってしまうような感覚もあり。1個の情報だけを鵜呑みにすることはないにしても、複数の人が同様の情報について言及していたら「そういうものなのか」と思うようになっていました。

そのこと自体は100%悪いことではなく、そうやって周辺から多くの情報を得ていくのが一つのやり方だとも思うんだけど、私はそうしているうちにいつの間にか自分の感覚が麻痺していたことに気付きました。“言語がわからないコンテンツを視聴している”という感覚が抜け落ちていた。情報の真偽、あるいはコンテンツの良し悪しの判別がついていないのに、なんとなくのTLやタグ投稿の流れに沿ってツイート・RT・いいねをしていて、そのことが結果的に推しに対してマイナスになりうる、ということに気付くことができなかったのです。

 

また、“感覚の麻痺”という視点で言うと、「ハラスメントなのかどうか」の判断基準についても、振り返るとやはり麻痺していたと感じています。

タイBLドラマや出演俳優を追っていると、いわゆる“CP営業(カップル営業)”を出演俳優達がしている場面に必ず遭遇する、というか、現状は切っても切り離せないものになっています。ドラマ撮影期間を経た俳優達が、役柄を離れてもなお仲良さそうにしているとファンとしては嬉しくなるし、推しカプが至近距離で笑い合っていたり、スキンシップをとっていたりすると思わず沸き立ってしまう。

日本人よりもタイ人の方が恋人同士に限らず友人同士、家族間などでもスキンシップをとる機会が多いという認識もあり、沼落ちしたての頃こそ俳優同士がふいに手を握ったり頭を触ったりすることに対してとてもびっくりしていましたが、最近ではもう普通のこととして受け止めているようになっていました。

もちろんスキンシップの度合いは関係性や個々の性格にもよって様々で、「このCPはこの距離感が絶妙で良い」「このCPは距離感0」など、色々なカップルがいて色々な萌えがある。

ただ、このファンの“萌え”を掻き立てるためになされるメディアからの質問(「本当に付き合っているんですか?」「リアルの恋人になる可能性は?」など)や、過度なスキンシップを狙ったバラエティのゲームが多く存在していて、私も色々見てきましたが違和感や不快感を感じるものもあれば、キャーキャー言いながら面白がって見ていたものもありました。

この線引きが自分の中でも曖昧であり、なおかつ適切でもなかったな、と思っています。個人の領域に土足で踏み込むような質問は不適切だし、スキンシップを過度に強いるようなゲームは本来アウト、というところが現状の私のスタンスです。でも、見過ごしてキャイキャイ言ってる可能性は大いにあり、本当に気をつけないといけない……と思っています。

カメラの前に立つ限り、ファンの前に現れる限り、俳優達が100%ナチュラルな姿でいることはないとはいえ、不自然に引き出されたスキンシップじゃなく、より自然な親密さや関係性、立ち振る舞いに対して愛情を注ぎたいな〜と思う。そして推し俳優達のかわいらしさを愛でていたい。

でも、インパクトの大きさに負けて結果的に消費に加担していたこともたしかにあったはずで、今振り返ってみて結構落ち込んでいます。

 

抽象的な話ばかりしてすみません。

実際に、私がこの記事を書こうと思ったのは11/22にEarthMixが出演した番組を視聴したことがきっかけです。

いつものごとく、番組内で話している内容はリアルタイムでわからなかったものの、おそらく大部分が2人が広告に出演しているピザに関する話だろうという認識で「今日も2人ともかわいいな〜」と思いながら見ていました。2人の他に番組を進行しているMCの方がいて、やたらとEarthさんの肩を触ったり頭に触ったりするな…?とは思ったものの、「そういうものなのか、スキンシップが多い人なのかな」と流してそのまま視聴していた。

朝になって、昨晩のトーク内容の翻訳・英訳ツイートを見ていると、詳しくは書きませんがMCの方が主にEarthさんに対して、彼のキャリアに敬意を欠いた発言をしていたこと、ごくプライベートな部分に踏み込むようなトーク進行をしたことなどに対して不快に感じた、といった内容が書かれていました。また、私が“やたらと触る”と感じていたMCの方のスキンシップはハラスメントだとも。

私が見た翻訳ツイートですら一次情報ではないので本当にもどかしいところですが、様々な反応を眺めているとおそらく大方の内容は合っており、私が見ながら「あすみくかわいいな〜」と思っていたまさにその瞬間に、そんなトークが繰り広げられていたとは……と思ったのでした。

また、少し感じていた違和感を”そういうものか”で流してしまった自分の思い込みの浅はかさにめちゃめちゃずーーーーーんとなっています。全然”そういうもの”ではない……。私も取引先のお偉いさんから頭触られたとき嫌だったでしょうが……。

 

自分が視聴したコンテンツに関して何か発言する時に、可能な限り誠実な姿勢でいたいな、と思っていたのにそれができなかったこと、“わからない”を“わからない”のまま放置した故に内容のジャッジを結果的に怠っていたことを本当に自分自身の中で悔しく感じています。もし自分がタイ語を理解できていたら、少なくとももっと内容を理解しようと努めていたらこうはならなかっただろうなと。

現状は翻訳してくださっている方の投稿や自動翻訳に頼るしかないのですが、実際に彼らがどんな言葉を使ってどう表現しているのかをもっと丁寧に調べたり、自分の感覚的な萌えに押し流されずに“消費に当たらないだろうか?”のクエスチョンを常に念頭に置いたりしていきたいと感じました。翻訳をしてシェアしてくださっているファンの方々がタイ沼にはたくさんいらっしゃり、労力もかかるのにいつもスピーディーに投稿していて本当にありがたいし尊敬します。見習って私もタイ語の勉強をする………!!

 

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