服を着るin TOKYO

ファッションとエンターテインメントについてふわふわ語る

会社辞めたいOLとポロポロ饅頭

お題「最近涙したこと」

今日、植本一子『かなわない』を買った。本屋と雑誌上でよく見かけていて、気になっていた。まだ四分の一程度しか読んでいないが、ハッとした。

 

かなわない



綴られた出来事は日常的で、文体も淡々としているが込められた心情は右に左に忙しく動き回っていて、私の心も揺れた。
娘の些細な行動に苛立って、ホットケーキを投げつけたエピソードを読んで、私がつい最近投げ捨てた饅頭のことを思い出した。私も自分の日常で起きた出来事とその時に感じた事を書きたいと思いました。

会社を辞めたいと日々考えているOLの些細な出来事についてです。


今週、会社の展示会が開催された。前述の饅頭はその際にお土産としてお客様に配られたもの。ちなみに勤めている会社は饅頭の会社ではなくアパレル関係です。

サンプルとして一個頂いて、ポロポロ崩れやすくて食べにくかったが甘くて美味しかった。スタッフ全員が一個ずつ試食した後、さらにもう一個私の机に置かれていた。

オールバックの上司既にいただきましたよ、と言うと一個多かったからあげるよ、お母さんに持って帰ったら、と言われた。

その次の日。頂いた饅頭はデスク上に置いたままだった。
展示会準備、会場設営の日だった為朝出社したのは吊り目のマネージャー、オールバックの上司と私だけだった。各自の業務を片付けた後に展示会設営に合流することになっていた。 



私は吊り目のマネージャーのアシスタント、という位置付けだが実際アシスタント業務、あまりしていない。やりましょうか、と言った事に対して50%お願い、50%俺がやるという返答がくる。半々なんだけど、マネージャーの仕事の内で私に出来ることがそもそも少ないのだから実際何パーセントもアシストできていないと思う。
その代わりに、他にアシスタントがいるのにも関わらずオールバックの上司ロン毛の上司(新婚パパ)からどんどん仕事が降ってくる。
さらに、吊り目のマネージャーはお願いしても商談に私を同行させてくれた事はないが一年後輩のふんわり男子のことは商談に連れて行く。

いつもなんだかなあ、と思っていた。周りからもあれ、マネージャーのアシスタントってあなたなの?って言われるし私自身も本当にアシスタントなのかわからなかった。でも、不思議なことに部署内の配置替えがあってアシスタントの入れ替えがあっても私がマネージャーの下につく、という配置は変わらなかった。

自分の業務と、どんどん降ってくるマネージャー以外のスタッフのアシスト業務(ここ最近はパンチパーマの上司の仕事も手伝っている。)と、時々マネージャーのアシスト。

これでいいのか?この先に私は何を見て仕事をしているのか?全く見えなくなってしまったのが一年前くらい。
やりがいがわからなかった。位置付けも曖昧で、ずっと部署内のグレーな部分を担っていくような気がした。仕事をしていて達成感を感じたことも楽しいと思ったこともなかった。


自分でも甘えていると思ったが、思い切って自分がどう動けばいいのかわからないと吊り目のマネージャーに相談した。
新卒で入社して以来2年が経っていたがフィードバックらしいフィードバックはこの時が初めてだった。
マネージャーからの提案は、マネージャーの担当店を二店舗引き継ぐことだった。たった二店舗だが、嬉かった。担当を持つのは初めてだし精一杯やろうと思った。


この一年後、今週に話を戻したい。
私の担当店は他の店舗と比較して今年に入ってから成績が芳しくなかった。
正直手詰まりに感じていたし、私自身展示会準備で疲弊していた。

会社から取引先に出す全ての部署の案内状の宛先をまとめて送付、出展する商品情報の入力など度重なる入力、訂正、入力、訂正と各部署との調整で情けなく恥ずかしい話だがキャパオーバーになっていた。

吊り目のマネージャーから呼ばれた途端、担当店の実績の悪さに対する追及が始まった。
実績が上がらないのは私の責任なんだから当然だ。当然だが、引き継いだ後に今までの施策を聞いても教えてくれなかったことや店舗が奥底に抱えていた問題(売上不調の原因は元はと言えばこれ)を事前に共有せず、浮き彫りになってから私のいないところでマネージャーがやりくりしていたことが思い出され、腹が立った。

腹が立ったので適当に相槌を打った。わからないことに関してはただわからないですとだけ言った。やらなければいけないことがたくさんあったのもあり早くこの時間が終わって欲しいと思っていた。
「売上作れないなら担当降りるか?」と言われてもすかさず「はい」と答えていた。心の底からどうでもいいと思っていた。担当持っても降りても同じ。こんな風になったのはマネージャーのせいだとすら思っていた。その時は。
詳しく覚えていないが「代わりなんていくらでもいるんだから」というようなことも言われ、最後に早くなんとかしろと言ってマネージャーは私からPCの方に顔を戻した。

決して悲しかったわけでも悔しかったわけでもないが、今までの私の三年間はなんだったんだろうと思うと涙が意外な程たくさん出た。


「代わりなんていくらでもいるんだから」


使い古された言い回しのくせして地味にショックだった。代わりってあの子かな、あの子かな、ふんわり男子かなと書いてる今も色々な顔が出てくる。
同僚といつも、どうやって会社をやめて幸せな生活を送ろうか話しているような私でも実際にお前の代わりなんていくらでもいると言われると傷ついた。

お手洗いで暫くの間泣いた後、デスクに戻るとその日私がやるはずだった業務はマネージャーがやると、社内メールが来ていた。「ああ、また”俺がやる“だ……。」と思ってその事にも必要以上にがっかりしてしまった。お手洗いに逃げ込む前にまた涙が出てきたのでしょうがないからデスクで泣きながら仕事をした。泣いているうちになぜ泣いているかわからなくなる現象が起こりつつ動揺していたので机の上を整理しなければと、美味しかった饅頭を真っ先に捨てた。

いつの間にかマネージャーは展示会場に外出していたし、一部始終を見ていたオールバックの上司も特に何も言わずに程なくして外出した。

自分が悪いのはわかっているが元気よく改善プランを提案したり謝ったりする気力がなかった。とはいえデスクで泣くなんて、一年目でもあるまいし。

他部署の先輩(美人)がチョコをそっとくれたり、もう一人違う先輩(元課長)もチョコをくれたりして私も元気がない人にチョコを渡せる人になりたいと思った。


展示会は無事終了した。
撤収時に、お土産用に綺麗にラッピングした饅頭が大量に余り、その場にいたスタッフ全員が二個ずつ持ち帰った。私も結局二個持ち帰って今度こそ母にあげた。
母はすごく美味しいと言って二日連続で一個ずつ食べていた。

母を見て、あの時捨てなければ良かったと思った。


吊り目のマネージャーとは未だに冷戦中。